〈 お酒は20歳になってから�� 〉 ページ17
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――行われた食事会は、懸念していたほど気まずい雰囲気にはならなかった。
村上くんや宮城くんが場を和ませてくれたのが大きい。
ヌートバーさんも準決勝の進出決定に中々のハイテンションで、私はといえば、6年前から交流のある一平さんとの話に花が咲き。
個人的になかなか気まずかった大谷さんも、話してみれば拍子抜けするくらい普通だった。
……いやそりゃ人の前で「そういえばこの間の告白なんだけどさ〜」とか言われても困るけど、でも普段通りに接してくれたのはとてもありがたい。
昨日の練習では少し様子が変だった山本も通常運転で、来てみれば、宮城くんに感謝するほど楽しかった。
むしろ意識していたのが恥ずかしいくらいだ。慣れないアメリカの地で緊張していたのかもしれない。
「Aさん？大丈夫っすか？」
「……だいじょばない……」
………なーんて、楽しく和やかな雰囲気で会は終わったのだけれど。
今になって飲んだお酒が回ってきた私は、ホテルのロビーに設置されたソファで俯いていた。む、村上くんの声が遠くに聞こえる……。
「何で酒弱いのに飲むかなあ」
村上くんの呆れた声にもその通りですと頷くしかない。……だって最初の方は気まずくてお酒飲むしかなかったんだもん。
「立てます？肩貸しましょうか？」
「ヴッ……ごめん今動いたら吐く」
「ええ〜……俺アメリカまで来て酔った人の介抱したくないっすよ」
「私もアメリカで吐きたくないよ！……あっやば」
反射的に叫んだのさえ吐き気を催して仕方がない。慌てて口を押さえると、村上くんがものすごい勢いで後退った。……女の子として普通に傷付くよその反応は。
「どーすっかなあ〜……、由伸さんもう部屋戻っちゃったし」
食事会を終えたあと、私たちは3台に分かれてタクシーに乗ることになった。
組み合わせは自然に決まったように思う。
通訳の一平さんと大谷さんがヌートバーさんと一緒になって、あとは成り行きだ。たまたまその時私の隣にいたのが村上くんだったから今こうなっているわけで。
「とりあえず水かなんか買ってきましょうか？」
そう考えると不運だった村上くんが尋ね、青いであろう私の顔を覗き込む。
それに不甲斐なく思いながら頷こうとした、その時だ。
「何してんの？」
と。
やけに楽しげな声が響き、村上くんが顔を上げて。
「あ、翔平さん」
彼が呟いた名に、私は一瞬、息が止まるのを感じた。
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作者名：あちちっ！ | 作成日時：2023年8月11日 14時
