青空と雨空【F.Tatsuya】 (ページ5)

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「これ、どうやって計算すんの？」

『えーっと…これは…』

意外にも真面目に問題に手をつけている深澤くんを見るとなんとも微笑ましくなる

たまに出る欠伸だったり…唸りながらも頑張る姿だったり…

「あぁ～もう～帰りたい！」

『勉強教えてって言ったのどこの誰？…』

「はい、僕です…」

『ていうかまだ一日目ですよ』

「いや、でもね、勉強してて5分以上もってる方がすごいほうよ？」

『もう論外です…5分だなんて…』

5分というワードが出てきてうちのお兄ちゃんも勉強ができないから5分もつかどうか気になってきた

5分って、授業もたないじゃん

『あ、深澤くん、この問題あってる！』

「え？マジ？どれどれ？」

一二時間ほど勉強した後、最後の仕上げとして私が今日深澤くんが解いた問題を丸つけした

大抵は惜しいか、全く違う答えか…それが続いていると、数十問やった中の一つだけ正解が出てきた

二人して肩寄せあって赤でピンばっかりのひとつのノートに目をやる

「本当だ…笑おれあってたって凄くない？笑」

『まぁ、一問だけだけどね笑』

「まぁまぁまぁ…一年生の内容をうっすら覚えてるぐらいの人が正解したのよ？もうちょい褒めて？笑」

『正解して良かったですねー』

「おぉい！笑棒読み！」

あんまり大きな声は出せないからひそひそと喋る私たちを考えてみると、面白いと思った

二人で声を抑えながらくすくす笑って、図書館を出た

「あ、送ってく、遅いしね」

『いや、大丈夫です…』

「いいっていいって～遠慮なく送られな？笑」

『じゃあ駅まで…』

「駅まででいいの？そこから近い？」

『はい、駅から徒歩5分です』

遠慮がちに二人で日が落ちかけている空の下並んで歩く

駅まで送って貰って、深澤くんともここでお別れ、深澤くんは電車に乗らないと家まで遠いとか

こっちの地区で勉強してもらってなんか申し訳なくなった

しかも夜遅くまで…

「じゃあ、明日も勉強しようね？明日もなんもないし」

『用事あったら連絡してください』

「お、了解！ばいばい！」

『はい、また明日』

駅のホームへ向かっていった彼は、私が見えなくなるまで手を振り続けてくれた

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