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正月が明けた日
お兄ちゃんが帰ってきた
翔「なぁA、お前の電話番号知りたいっていう奴がいんだけど、教えていい？」
『別にいいけど、無闇矢鱈に渡さないでよ』
私の連絡先知りたい人なんているの？
不思議に思いながら正月明けの特番が映し出されたテレビ画面を見直した
＿＿＿＿＿＿＿
先「Aちゃん、電話鳴ってる」
その一言が発端だった
午後から早くも仕事が始まった、なんともお客さんは予約を躊躇なくしてくるのだ
だから午後からの出社になる
ちょっと予約が落ち着いたかなってとこで先輩からこの言葉が投げかけられたのだ
《…どちら様でしょうか…》
画面に映し出された不明な番号
おずおずと通話ボタンを押すと、沈黙の間が訪れた
《え、あの…間違いならきりますけど…》
〈あぁ！ちょっと待って…俺、俺だって！〉
《もしかして…オレオレ詐欺ですか？…私まだ結婚もしてませんので、子供もおりません！》
〈だから！深澤辰哉だって〉
いきなりオレオレ言ってきたからオレオレ詐欺かと思ってテンパった
すると約一ヶ月前に引き止めてきた元カレという名の人たらしだった
《…あの、仕事中なんですけど…》
〈え、あ、ごめん…〉
《休憩中だから大丈夫だけど…》
〈えっと…その、この前はごめん、また時間ある時電話してもいい？〉
一ヶ月前の出来事で完全に嫌われたと思ってた
最低な言葉ばっか言って、挙句、勝手に公園から飛び出したのだから
なのに彼はまた電話してもいいかと聞いてきてくれたのだ、嫌われてないの？
《え、あ、その…》
〈あ、嫌だった？だったらごめん！〉
《いや、その！…違くて…もう、私のこと嫌いになったと思ってたから》
〈え、なんで？〉
《この前、酷いこと言ったし》
顔は合わせてないけど、電話越しでも分かるような落ち込んだトーンで言うと
え？あんなこと言われただけで俺が嫌いになると思った？
って久しぶりに聞いた余裕のある声で尋ねてきた
〈Aは俺の事信じて無さすぎ、俺がどれだけ好きだと思ってんの〉
その言葉を聞いて咄嗟に何かを言うことは出来なかった
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作者名：チョコ | 作成日時：2022年5月29日 17時
