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2019年
『別に下まで降りてこなくても帰れるよ?笑』
わざわざマンションの下まで降りて見送ってくれる辰哉くん
車の免許はとるとる言いながら取ってないから私を家まで送っていくことは不可能
「いやぁー車の免許とんなきゃな笑」
『とか言いながら数年取ってないよ』
「いや、今年中にはとるから!」
何度聞いたか分からないセリフを今年も出してきた
はいはい笑と軽く流しながら宥めた
『ねぇ辰哉くん、唐突なんだけどさ、私と別れてくれない?』
直球過ぎたかもしれない
こいつは空気を読めないのかとも思われただろう
案の定口を開けたままの辰哉くんが視界に入ってくる
「…は?笑え、もしかして柄にもなく冗談言ってる系?笑」
『違う』
「冗談なんてやめなって笑悲しむから笑」
『…辰哉!ちゃんと聞いて』
初めて彼を呼び捨てで呼んだかもしれない
顔の頬を両手で掴み私の目と合わせた
『…ねぇ覚えてる?私たちが約9年前、この日に付き合ってからも勉強会してたよね?笑』
「…うん…」
『私ね、こんなのがずっと続けばいいって思ってた、でも無理だったみたい…いつの間にか辰哉くんはデビューを控えるグループの最年長、そして来年には二組同時デビュー…私の知らない間にこんなにも遠い人になってた…』
「…俺がデビューしようがAが会いたいって言ってくれたら何時でも逢いに行くよ?」
『そうじゃない…』
辰哉くんの家を出る時渡された傘に二人入っているとどうも暑苦しい
でも彼の声だけは雨の音よりもしっかり聞こえた
時々見せるあの弱々しい声で私の手を取ってくる
「ねぇ言ったじゃん、俺一生別れないって」
『人の気持ちは変わるって私は言ったよ?』
「…俺の事もう嫌い?」
『…っ嫌いではないよ』
「じゃあなんで…」
私はもう一度彼の頬に手を当て「私は邪魔だから」といった
ちょっとだけ出会った頃とは背が伸びた彼の頬に触るのは背伸びが必要だ
すると「邪魔じゃないって、これからも俺の側にいてよ」と軽く呆れたような声で返事をしてきた彼
『辰哉くんにとっては邪魔じゃないかもしれないけど、世間にとって私は邪魔なの』
「世間とかどうでもいい俺はAがいればいい」
『だからっ…』
ここで私が何を言おうがダメな気がした
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作者名:チョコ | 作成日時:2022年5月29日 17時