青空と雨空【F.Tatsuya】 (ページ2)

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『今日これ返してくる』

「一人で大丈夫なのかよ…」

『うん、大丈夫』

翌日紙袋に入ったパーカーを持って玄関へ立った

まだ寝癖が着いているお兄ちゃんが心配そうに見てくる

実はあの時パーカーの人が着ているワイシャツの胸元を見て分かった、どこの高校の人なのか

「学校帰りに渡しに行くんだろ？」

『うん、学校分かったし』

「やっぱ着いてくよ、学校どこ？」

『あ、お兄ちゃん、お母さん呼んでるよ？』

母「翔太！あんたも早く着替えて学校に行きなさい！」

母の怒りをくらっている間に家を出るためドアを押した

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「渡辺さん！宿題のここ、分からなかったんだけど、教えてくれない？」

中学の頃ちゃんとした友達という友達が出来ないまま卒業を迎えた

高校デビューなんてものをしてみようかと思い、そこそこ頭のいい高校へ入った

でもやっぱり高校デビューなんて甘くはなかった、いつの間にかグループは確立してて、私は入ることが出来なかった

頭がいいからと言って硬い人間だけではないこの高校

面白い人もいれば、可愛い人、綺麗な人もいる

多種多様だ…

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『来てしまった…』

パーカーを返しにきた他校

来たからには後には引けない

あの茶髪の人を探す、下校時刻なのか過ぎ行く人達はひそひそ話をしながら帰っていく

「ねぇ辰哉！早く行こ？」

女子の腕を引っ張られながら軽く返事を返す人が一際目立つ

あんな人にお兄ちゃんはならないといいななんて考えながら見ていると、見覚えのある茶髪の人だった

「あれ…昨日の子じゃない？」

『あ…』

「え、もしかしてパーカー返しに来てくれた？笑」

『まぁ…』

運悪く気づかれてしまい、隣にいた女の子が遠くで睨んでくる

『あのぉ…これ！ありがとうございました！じゃ…帰ります！』

「あ～ちょっと待って！」

体の向きを変えようとした瞬間腕を掴まれた

「じゃあ俺にお礼してよ？」

『え…』

待っていた女の子に軽くごめんと言って私の腕を引っ張って歩いていった

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