○お花見の季節○ ページ43
リアル風
yb.
「あの公園の桜、満開なんだって」
「ふーん、」
「あ、興味ないでしょ」
出演までの空き時間、スマホをいじっていると珍しく俺の方に来たかと思えば意外な一言。
俺の反応が悪かったのか、せっかく僕が良いこと教えてあげたのに!と侑李は頬を膨らませてプンスカしてしまった。
……もちろん興味がないわけじゃない。
けど、俺ら男が花見なんて。と思ってしまうのが正直なところだ。
「もー、薮。また知念がいじけてるんだけど」
「いや別に俺のせいじゃ……」
「薮!」
「…はい、俺です。すみませんでした」
なぜだろう。侑李は機嫌を損ねると、光に頼る。
そしてその原因が少しでも俺に関わっていると、大抵オレが光から説教を受けるのだ。
「侑李も俺が光に逆らえないの知っててやってるんだから、
なかなかの策士だよな」
「策士とかじゃないでしょ。
薮が悪いからそーなるんだよ、分かった?」
「……へいへい」
返事は一回!と軽く怒る姿は、お母さんみたいだ。
それに光は、俺を本気で叱ることはそうそう無いから、大体はこのままの流れから会話に入る。
「光、俺がもし桜見に行くって言ったら行きたい?」
「桜!?行きたい!」
俺は聞く場所を間違ったのかもしれない。
光よりも早く返事をしたのは……
「なんで大ちゃんが返事するの。薮は俺に聞いたんだからさ」
「ちぇー…、行きたかったのになぁ。……あ、いや。ごめん」
軽くワガママを言う大貴に謝らさせたのは、光でも俺でもない。
やぶひかの時間の邪魔をするな、とでも言いたそうな目で大貴を睨んでいる裕翔だ。
「ごめん」の言葉に満足した裕翔は満面の笑みでニコニコしている。
「ねぇ、カメラマンで俺が行ってあげようか!?」
「「いや、遠慮しとく」」
俺ら二人からの拒絶に、きっと裕翔は心をえぐられたんだろう。
やま〜、やぶひかがぁ〜っ!と慰められに涼介の方に逃げていった。
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作者名:み。 | 作成日時:2022年2月28日 17時