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どうやら、ここは一口に人気と言っても"誰にも言えないこと"を聞いてもらえる所として人気だったらしい。


だから来るのは、そーゆー人ばかり。


最初はただの古民家的なお店だったけど、ある客を境にアットホームで悩みの解消ができるお店として、ウワサが広がっていったとか。


「社会人になってすぐだと悩みも多いでしょ、せっかくだから何か聞いてあげるよ」


お父さんが、魚の煮つけとご飯を持ってきてくれながら
そう俺たちに話しかけた。


「んー、そーですね…」


いざ、そう言われるとなかなか思い付かない。

苦しいことも嫌なことも悩むことも沢山あるけど、いずれは慣れなきゃいけないことだと思うと、無意識に悩みという悩みは現れなくなった…らしい。


そう考えている間に、伊野ちゃんはご飯を頬張りながら「光、あれは?」と一言。



「あれ?」

「そう、あれ。薮とのこと。二人の関係に悩みは無いかもしんないけど、世間的には、まだ受け入れられる体制にはなってないじゃん?」

「あー…」



伊野ちゃんの言う"薮のこと"というのは、友情とかシンメとか兄弟みたい、とか。
俺たちはそういう関係以上にあるということだ。


「なになに?」

「俺のこと…なんですけど」

「うん」


夫婦は俺たちの近くに来て、うんうんと聞いてくれる。
実家に帰ったみたいな、そんな温かさだ。


「同性愛ってあると思いますか…?」


そう言った瞬間、顔を見合わせてニコニコと微笑む二人。


「同性とか関係ないよ、立派な愛なんだから」

「そうそう」


なんて温かい人たちなんだろう…

と思ったのも束の間。
なぜか俺は目の前にあったお酒をなんの躊躇いもなく飲んでしまったのだ。



「光…!?」

「えっ?……ッケホ!」


目の前にあったのは料理用の度数が高めのお酒。
なんでこんなものが置いてあったのかは分からない


旦那さんも「ごめんね!」とお水を急いで渡してくれた。





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作者名:み。 | 作成日時:2022年2月28日 17時

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