◇ピック◇ ページ2
yb.
大学生パロ
夏休みの始まる少し前。
俺は光を家に呼んで、ふたりでローテーブルを囲んで座る。
「光、なんとかできない……？」
「まぁ、出来ないこともないけど」
「そこはちゃんと教えるから」
一ヶ月後に、小さなライブハウスで複数の大学が集まってライブをすることになり、それに俺たちの軽音部も参加することになったのだが。
残念なことに俺は予定と被って出れなくて、その代役に光を選んだってところ。
「やる分には責任もってやるけど、うまくできるかは分かんないよ？」
「安心しろ、そこは裕翔にも言ってあるから、ちゃんとカバーしてくれる」
その言葉を聞いた光は、またそうやって裕翔、裕翔って……頼りすぎなんだよって愚痴言ってるけど、だって頼れるやつ他に居ないし。
裕翔だって、まぁ光くんと薮くんの頼みならってよく分かんないけど快く引き受けてくれるし。
……まぁ頼ってるのには変わりないけど。
「……よし、そうと決まれば早速練習だな」
「え、もう？」
「あぁ。早いに越したことはないだろ、ほら」
光が担当してるのはベースで、俺はギター。光が言うにはギターは少しかじったことがある程度で、完璧にはできないらしい。
ベースは何人かいるから代役はすぐ探せるけど、ギターは俺しか居ないから少しでもできる光に相談したのだ。
インテリアのように近くに立て掛けられているギターを光に渡すと、
俺は光の後ろにまわる。
「これ今回の楽譜だけど……楽譜は読めるよな」
「バカにしてんの？」
「いや別に？」
「なんだよ」
楽譜を見ながら、ぎこちなさそうに運指する手を見かねて、俺の手を重ねる。
やっぱり最初こそ簡単だったものの、サビに進むにつれて相当難しく感じているらしく、その度に俺は光にぴったりと顔を寄せて、覗き込むように教える。
「あー、まて光。そっちじゃない、もう１個上」
「……」
「人差し指ずらして」
重ねた指で、光の指を誘導させながら楽譜通りに進めていく。
綺麗な音色か、正しいリズムかと言われれば全くそんなことはない。
けどやったこともあるからか、センスはあると思う。
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作者名：み。 | 作成日時：2024年2月15日 0時
