◇かまくら◇ ページ1
yb.
「あーあ、雪積もらなかったね」
「まだ２月だろ、これから降るよ」
えぇ、なんて窓から目線を外した光は俺をジッと見る。
光が急に薮の家に行きたいって言うから、番組の収録をしてからそのままここに帰ってきたのだ。
行きたいって言ったわりには、とくに用事も無かったらしく。
適当に流したテレビをBGMに時々話しては、ボーッとして、また話して。
その繰り返し。
「だってさぁ、薮とかまくら作るって言ったじゃん。
もっと降らなきゃ作れないもん」
「あー、言ってたな、そんなこと」
いつぞやのラジオでの話だ。
正直忘れてた……かも。
そんなこと言ったら、光に飛び蹴りされそうだな
「なにニヤニヤしてんの」
「いや？子どもだなと思って」
「そっちだってノリノリだったくせに」
まぁ、少しはそういうことしても楽しいかもしれない。
かまくらね……
最後に作ったのがいつかなんて全く思い出せない。
少し考えながら、ふと光を見ると、光も俺を見ていた。
「なに？」
「いや、それはこっちのセリフだろ」
「なんで、薮が見てきたんでしょ」
「俺より先に見てたの誰だよ」
「さぁ、」
「お前しかいねぇよ」
こんな少しの茶番にも、光はハハッ、と笑って目の前のコーヒーを飲んだ。
久しぶりに寒い今日は、暖房が効くまで時間がかかる。
コーヒーの湯気も一向に消えない。
何気なく外を見ると一面真っ白だった。
「光、雪降ってる」
「あ、ほんとだ」
二人で豪雪の真っ白な外を見て、窓側まで寄ってみる。
こんなに降るなんて、天気予報では一言も言ってなかった。
向こうのビルさえ、何一つとして見えない。
「真っ白だね」
「あぁ、光の髪みたい」
「は？」
「うそうそ、かまくら作れるくらい降るといいな」
「……うん」
窓に近いせいか、鼻先がピンクに染まってる光。
今年こそ、かまくら作れるかな
＿＿＿＿
ある日のラジオを参考に……
3を作ろうか悩んでましたが、のんびりと進めて行くことにしました。
亀更新ではあると思いますが、最後までお付き合いいただければと思います。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 192人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：み。 | 作成日時：2024年2月15日 0時
