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ふとカレンダーを見ると、明日の日付んとこに「おばさん」の文字を見つける。
あ、そーいや明日やったっけ。
お母さんから「親戚のおばさんがくる」と聞いて数日。カレンダーに書いたバツ印も気付けばその日にどんどんと近づいていた。
言いすぎるのもきっと嫌がるから、謙杜が言い出すまでは何も聞かんようにはしてたんやけど。
最初の方は皆心配しとったけど、謙杜も調子を崩したりすることもなく普段通りに過ごせてたから、親戚のおばさんが来ることなんて、もう忘れかけてた。
「あ」
ベッドで何か絵を描いていたはずの謙杜が思い出したようにつぶやく。
「ん？なに？」
「...おばちゃん来るの明日か」
謙杜のマヌケなそのセリフに、どう返答すべきか戸惑う。この話題を切り出すべきか切り出さんべきか、結構神経使ってたんやけどな。
「あ...おん...そう、みたい、やな...？」
「あかん、部屋掃除せな、またなんか言われたら困るわ」
開いていたスケッチブックを閉じベッドから足を下ろすと、じっと上目遣いで俺の方を見つめる謙杜。
え？なに？なんでそんな目で見つめてくんの？と固まっていると、
「みっちー、ヘルプ」
と両腕を広げてきた。
あぁ、立たせてってことか。
口をプクッと膨らませ上目遣いで見つめてくる姿がなんだか可愛く思えてしまって、フフっと思わずニヤけると「え、なににやけてんの。きもちわる」と言われてしまった。
「や、ごめん、なんでもないわ」
急いでその肩を抱いてゆっくりと立ち上がらせると、近くにあった杖を持って自分の部屋を片付けはじめる謙杜。
部屋の片付けを手伝いながら何度も謙杜の表情を確認するけど、その様子からは、何を考えているのかさっぱり分からない。
「ねぇ」
「ん？」
「...や...なんでもない」
干渉してしまいそうになる気持ちをそっと胸にしまい込む。
「なんやねん(笑)さっきからこわいんやけど」
心配する俺の顔を見て笑う謙杜は、俺が想像してたよりも全然平気そうな顔をしている。戸惑いと安堵が、俺の心の中でぐるぐると渦巻いていた。
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作者名：もけけ | 作成日時：2022年7月2日 5時
