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ほんまに理解してくれてるんかなとは半信半疑やったけど、おばさんは、ほんまに何も言わんかった。
「おばさんな、ちょっと前に、旦那さんを病気で亡くしてん。」
おばさんが帰って、皆が「なにもなくて良かった」と話している横で、謙杜は俺にそう言った。
「旦那さんがいなくなってから、おばさん、1人で暮らしててんけど。たぶん、旦那さんを亡くした寂しさとか、毎日の不満をな、どこかで晴らしたいだけなんやと思う。」
病気で家族を失って、穏やかな性格だったおばさんは何かの糸が切れたみたいに、何か酷いことを言ってしまったり、人に当たることが多くなったらしい。
だからって、謙杜に当たるのは許せないんやけど...
...謙杜は、自分がいなくなったあとの世界を想像したりするんやろか。
自分がいなくなったら、家族や周りがどうなるかと、想像するんやろか。
あんなに酷いことを言ってくるようなおばさんも、謙杜にとっては放っておけない存在やったのかもしれない。
謙杜がいなくなったら...
想像したくはないけど、
きっとその日はもうその先で。
謙杜がいなくなったら、俺は平常心でいられるんやろうか。
俺や謙杜の家族はそのままの日常をおくることができるんやろうか。
考えれば考えるほど、俺にはそんな自信はなかった。
あのおばさんみたいに、もしかしたら、僕も誰かに当たってしまうかもしれない。
隣で眠る謙杜の寝顔を見る。
こんな小さな体で、こんなに難しい病気と闘いながら、こんなにたくさんのことを考えてるんやもんな。
そう思うと、なんだか自分が何も考えていない気がして、そんな自分が情けなくなった。
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作者名：もけけ | 作成日時：2022年7月2日 5時
