夏の海のコテージで (ページ7)

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And when the night is cloudy (たとえ曇り空でも)

There is still a light that shines on me (僕を照らしてくれる光はある)

Shine on till tomorrow (それは夜明けまで僕を照らしてくれるんだ)

Let it be (ありのままに)

レコードから流れるビートルズの“Let it be”。柔らかなその曲調が、この暖かいコテージにはよく合っていた。

「謙杜。そろそろお腹空いたんやけど」

「もう赤ない？目。」

「うん。もう大丈夫。」

謙杜の目を確認して僕がそう言うと、謙杜は「いこか」とゆっくり身を起こした。

「辛いとこない？大丈夫？」

「ん。今日は調子いい。」

「そか。良かった。」

ベッドから足を下ろした謙杜の肩を抱く。

長い入院生活と薬の治療で、謙杜の筋力は弱くなってしまった。

歩くのも、手すりや誰かの支えがないとままならない。

申し訳ないと思ったのか、最初は人の手を借りることを嫌がってたけど、今は頼ってくれるようになった。

僕が率先してゆっくり立ち上がらせると、謙杜はベッド脇の手すりに掴まって、ゆっくり、ゆっくり足を前に出す。僕はそんな背中をそっと支えてあげるだけ。

「あー、おはよう。もう食べちゃったからさ、2人で食べ？」

リビングまで行くと、恭平たちは朝のテレビ番組を見ていて、窓際にある木製の白い食卓テーブルには、美味しそうなベーコンエッグトーストとサラダが並んでいた。

「わ〜、おいしそ。いつもありがとうございます」

なんて言えば、お母さんが「いいのいいの、遠慮しんといて？ウチは駿くんのこと息子やと思ってるからさ。」なんて笑う。

もちろん、僕も高橋家には小さい頃からお世話になっとるし、恭平や謙杜のことも兄弟みたいな関係やと思ってるけど、お母さんやお父さんがいつも言葉にして僕にそう伝えてくれるのが、すごく嬉しいんだ。

トーストの香ばしい香りが口いっぱいに広がって、幸せな気分になる。

「こんな美味い料理を毎日食べれるなんて、幸せやなぁ」

隣で食べている謙杜にそう言うと、謙杜も「おいし」と言いながら、幸せそうな顔をしてた。