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「私は追われる身。そんな迷惑な存在であることを承知した上でお願いしたいのです。どうか、私を海賊の仲間にしてください」
私は膝をついてお願いした。
今までの私などどうでもいい。
以前は姫だったことなど今となってはもう
何の役にも立たない。
「なんでわざわざ海賊に…」
ナミさんが言う。
なんでか、と。
「私の命は、もはや私だけの命ではありません。父上は海賊になりたかったと常々私に話してくれていました。なれば私は父上ができなかったことを代わりにしたい。父上が見たかった世界を私が代わりに見て、後ほど話してあげたい」
私を産んだと同時に命を落とした母上。
今まで1人で2人分の愛情を注いでくれた父上。
いつも私に色んなことを教えてくれた兄様。
私のために命をかけてくれた兵士たち。
私の命は、大切な人の命で成り立っている。
それに、本音をいえばこれから自分がどうやって生きていったらいいのか皆目見当もつかないのだ。
ならばせめて父上の代わりに海賊にと、そう思っていた。
「ルフィさん、無理なら無理とはっきり申していただいて構いません」
ルフィさんは考えたのかも分からないくらいに即決だった。
「おう!!いいぞ!」
「本当!?」
まさかのまさかだ。
追って付きの元姫なんて門前払いなのでは、と思っていたけど
(私、もしかしてとてもいい海賊に出会ったのかな)
「それから、ルシャも次の町まで共に航海させてください」
私がそういうとルシャはすぐさま反論してきた。
「姫様!?私は姫様のお側に…!」
私は首を横に振り、それより先の言葉を止めた。
「あなたはもう十分私に尽くしてくれた。これからは自分のために生きなさい。大丈夫、あなたの顔は敵にバレていないわ」
それからこれを、と
私が身につけていた
ネックレス、ブレスレット、指輪などのアクセサリーをルシャに渡した。
「これを売ってしばらくの生活費の足しに。しばらくは困らないはずよ」
ルシャは泣きながらそれらを受け取った。
「姫様の御心のままに」
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作者名:ぎんまる | 作成日時:2017年9月11日 23時