【短編集】きゃんでぃ (ページ2)

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街の一角で何やら人集りができている。

気になった俺はその人集りの中へと入っていった。

女性の声が聞こえる。

「どこまででも追いかけてきて…あなた達もご苦労なことね」

人をかき分け、前に出ると
ドレスを着た女性が
顔を隠した1人の女性を守るように前に出ている。

その向かいに立つのは
柄の悪そうな男たち3人。

「悪いな。あの方からのご命令なんだよ」

男が手を伸ばすと女性はその手をパシンと払い除けた。

「そんな命令聞かずとも、もはや私たちには反撃する牙など残っていません。あなた方が全力を尽くすべきは私たちの捕獲ではなく、傷ついた兵士たちの手当です！！」

女性がそう言うと男たちは
声を荒らげた。

「お前に指図される覚えはねぇんだよ！！捕らえろ！！」

その声に従い、男たちは女性を捕まえようと近づく。

明らかに武器も何も持たず
戦えるとは思えない女性たちを放ってはおけない。

俺の騎士道にキズがついちまう。

俺はすぐさま真ん中に躍り出て
男どもを蹴散らした。

「…ったく。レディに何しようとしてんだ」

ふう、と紫煙を吐いた俺の腕を
その女性が掴み、引っ張る。

「逃げましょう！！」

周りの野次馬を掻き分け
どこに行くあてがあるのか知らないが走る。

「レディたち、これからどこに？」

「わかりません。でも、とにかく逃げなければ…！」

切羽詰まったように言うその女性を
見捨てられない。

俺は2人の女性を船へと迎え入れた。