+1歩 ページ6
jn「い、いいえっ。全く！ずっとAさんに会いたいって思ってたのに！
Aさんが怖いとか嫌とか、これっぽっちもないんです！」
あの日、Aさんは何一つ悪くなかったって言いたかった。
来てくれて嬉しかった、安心した。
ただただあの日の精神は普通じゃなかった。
それでもあの日の気持ちは引きずったままだし、身体が心に思うように追いつかない。
jn「でも…僕は今、心と身体が思うように一緒になって動いてくれなくて。
それで…Aさんをまた傷つけるのが怖いんです」
僕は1度彼女を拒絶した。
その時のAさんの顔も遠ざかる足音も全部、覚えている。
次に会った時。
心は貴方にあっても、体がまた拒絶していまうのではないかと考えると怖い。
貴方にあんな顔させるのが怖い。
貴方にどう思われているのか知るのが怖い。
貴方に拒絶されてしまうのが、1番怖い。
臆病で意気地無しな僕。
そんな僕が1歩進む勇気ときっかけをくれるのは、いつも彼女だ。
jn「ごめんなさい」
『うん？』
jn「あの日、Aさんの手を弾いて酷いことを言ってごめんなさい。僕から来て欲しいってお願いしたのに…」
やっとあの日の事を謝ることが出来た。
『私も、ごめんなさい』
jn「…えっ？！Aさんが謝ることなんて1つもないじゃないですか！」
思わず大きい声を出してしまって慌てて口元を抑える。起きてないかな、隣の部屋の子。
『どんな状況であれ貴方を怖がらせました。彼女だからどうとか、関係なく事実なんです。
でもあの時言ったでしょう、私に嫌なことをはっきり伝えてくれて良かったって。
怖い思いをした上で、ジュンさんがもっと身近な人に怯えて気持ちを1人で抱えて、それに気がつけない方がずっと嫌だったんです。
人は…本当に怖い時、頭が真っ白になって声も出せなくなってしまう。
そんな中勇気を出して怖いって言えたんですよ、ジュンさん。すごいことなんです、嬉しいことなんですよ。私に伝えてくれたっていうのは』
jn「……どうして」
どうしてそんなに優しいことを言ってくれるんだろう。
どうしてこんなにも情けない僕の恋人で居てくれているんだろう。
こんなにも困らせて時間を無駄にさせてしまっているのに。
この関係だって、貴方が僕に付き合ってくれて始まったのに。
それを口に出すのは彼女にあまりに失礼な気がして、喉元で留めた。
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なっつ(プロフ) - 素敵な作品に出会えて一気に読んでしまいました…！これからも楽しみにしています。 (10月2日 1時) (
レス) id: 1d12df4e5b (このIDを非表示/違反報告)
ムーンワーカー - 次の更新も待ってます！もう、めちゃくちゃ大好きです！ (2023年3月5日 20時) (レス) id: 8899fe7fbc (このIDを非表示/違反報告)
ゆび - 一生大好きです……更新ありがとうございます………ずっとずっと楽しみに待ってました……ありがとうございます………幸せになれ……！！ (2023年1月3日 1時) (レス) id: b9570136cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菫 | 作成日時：2023年1月2日 1時
