つかむ ページ50
jn「ぼ、僕Aさんの彼氏じゃなくなったんですか？！」
『えっ？』
途切れ途切れの息も彼女の驚いた顔もそのままに彼女のデスクに近寄って捲し立てる。
jn「僕、Aさんと別れるなんて嫌です！酷い態度取って嫌いになりましたか…？僕と別れたって思うくらい？
い、嫌です。そんなの嫌です、Aさんのこと僕が1番好きなんだから…ずっと貴方のこと好きだったんだから…」
『あの、ジュンさん…？』
jn「やっぱり若い子が良いんですか、僕みたいな頼りない彼氏じゃなくて、もっと可愛くて明るい子が…！
Aさんがまだ誰のことも恋したことないなら！今僕がそうじゃなくたっていいんです、でもその席は僕のものがいいんです！僕はずっと貴方から逃げていて意気地なしだし呆れられちゃう彼氏だけど！だけど…っ、僕が貴方と一緒にいるんです！」
『う、うーん…？？？』
いつも僕の話を聞く時の優しい顔じゃなくて心底困り果てた顔の彼女を見て僕はとうとう泣き出した。
冷静に考えれば急に来て支離滅裂な気持ちを早口で言ってたんだもん、そりゃ困るよね。
それでもこの時の僕は焦ってから回って緊張して、どうしようもない状態だった。
jn「う、うう〜〜っ…嫌ですっ、絶対に嫌です〜！」
『え、えっと…どうしよう。落ち着いて、ね？』
怖くて不安だった。
こんな時はAさんとどうしようって決めたっけ。
そうだ、指。指を握っていいんだった。
どこにその手はあるかな。
『ジュンさん。…お探しのものは、ここに』
ぎゅっと人差し指をにぎってみるけれど、何か違う。
jn「…ちがう」
『うん？違うの？』
jn「うん。なんか違う。こんなのじゃヤダ」
『怖い？』
jn「こわくない」
足りない。
指一本を握るくらいじゃ、今の僕には足りない。
どうやったら貴方に気持ちが伝わるかな。
そっか、全部の指で繋げばいいんだ。
隙間を無くして重ねれば、きっと。
jn「…こうがいいです」
『そう』
握りしめた手は力加減なんて言葉頭の片隅にも無かったから痛かったろうに、Aさんは振りほどくことなく握り返してくれていた。
jn「ぐすっ…ジョンハニヒョンに電話しようとしてる。やっぱりヒョンがいいんだ…」
『あいつと付き合うとしたら世界滅亡の危機背負ってる時くらいですからね』
jn「なにそのロマンチックな設定〜！やだ〜〜」
『ロマンあった？どこに？』
泣き止んでも手は繋がれたままだった。
ちぐはぐな僕らの関係はまた進んでいく。
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なっつ(プロフ) - 素敵な作品に出会えて一気に読んでしまいました…！これからも楽しみにしています。 (10月2日 1時) (
レス) id: 1d12df4e5b (このIDを非表示/違反報告)
ムーンワーカー - 次の更新も待ってます！もう、めちゃくちゃ大好きです！ (2023年3月5日 20時) (レス) id: 8899fe7fbc (このIDを非表示/違反報告)
ゆび - 一生大好きです……更新ありがとうございます………ずっとずっと楽しみに待ってました……ありがとうございます………幸せになれ……！！ (2023年1月3日 1時) (レス) id: b9570136cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菫 | 作成日時：2023年1月2日 1時
