1歩進んで半歩戻る僕ら 3

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sc「ウブな男に色々教えること好きな奴も居るだろうけど、なら尚更早く自分のものにしたいはずだろ。教え込むことに意味があるんだから。
そんで、今が絶好のチャンス。
傍に居て自分以外の女は要らないだろ、見なくていいだろって縛り付ける事だって出来た。

でもあんたはずっとジュニを待ってる。
そして好きでもない男にそんだけ悠長に成長待つ程アンタの時間も価値も安くない。

なら別にそのままでいいんだろ、アンタ。
ジュニに恋人らしさもそういう行為も求めてない。

じゃあアンタはジュニに何を求めてるんだろうな。恋心がないなら見返りが何かないとこんな悠長に付き合ってない」

『……』

sc「最初顔合わせてもビビって逃げるわ隠れるわ、スキンシップも子供みたいなのしか出来ない、おまけに女性恐怖症悪化させてあんたの事まで拒絶するかもってのに。
アンタはジュニを拒絶しない。なんで？」


私が欲しい見返りは何か。
何を彼に求めているか。

何故彼と付き合っているのか。




sc「いや、俺はすげえ嬉しいけど。キツい言い方したけどジュニに対してあんだけ丁寧で根気ある付き合い方して、めちゃくちゃ大事にしてくれてんじゃん。


それにさっきあいつに「誰でも良いんだろ」って言われた時の顔、すごかったぜ。仕事相手に怒った顔出した。

それ見て今付き合ってるジュニとか、今までの付き合った奴らもどうでも良かったんじゃなくて、ちゃんと大事に思ってたし大事にされてたんだろうなあって。


誰でもいいわけじゃないでしょ、絶対」


そう。誰でも言い訳じゃ無かった。

今も、これまでも。



『…ジュンさんって、すごく真っ直ぐなんです。恥ずかしがり屋だけど、伝えたいって思った気持ちは絶対伝えてくるんです。

まぶしいんです。キラキラしてて、すごく綺麗なんです』


告白してくれた時の震える手の感触や熱くなった体温とか。
気が抜けた時にくしゃっと笑う顔とか、声とか。


気持ちを何より分かりやすく伝えてくる目とか。


全部が眩しくて、愛おしい。



『それを私は…自分のものにしたいのかも。全部受け取って、理解して、それで……返したいんです。大切にしたい。


それで、受け取って欲しいんです。

私の気持ちも、大切にされたい』


違う形って分かると無かったことにされる、捨てられる私の好意。

これ以上自分をすり減らしたくない。

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