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月見デート: +0.5歩 ページ2

side:Jun

jn「……でーと?」

随分と間抜けで素っ頓狂な声で電話向こうの言葉を聞き返してしまった。


アイドルの僕とその事務所の事務員であるAさんは僕の告白(恋愛相談…?)によりお付き合いを始めた。



でも、今の僕らの状況は中々に酷いものなのだ。


僕は長年働いていたスタッフの女性に怖い思いをして、短い休養期間からなんとか仕事に戻ったところ。

朧気で曖昧、だけどしっかりと植え付けられた、積み重ねられた恐怖は中々拭い消えないもので。


周囲の女性に今まで以上に警戒するようになってしまったどころか、恋人のAさんまで遠ざける始末。



そのクセ彼女に会えるメンバーにずるいと負の感情を抱いてしまうという矛盾だらけで情けない今の僕。


短い期間でも、少しづつでも縮まりつつあった僕たちの距離感は降り出し以上となってしまった。


今の僕を見せたくない、また彼女を拒絶して傷つけたらどうしようなんてうだうだ考えて会いに行くことを先延ばしにしていた所に、彼女から電話が来た。





久しぶりのAさんの声。

そして久しぶりのAさんのちょっとストレート過ぎる提案だった。


『はい、デートです』

jn「…???」


僕は宇宙を背景に背負った。





でーと、デートってあれだよね?

恋人が一緒に時間を過ごすことだよね?
(最近はお家デートなんて言葉もあるから出かけることがデートじゃないと知った。ややこしい)




デート。

僕が前もってやりたいことを確認しあって決めてからやりたい、と彼女に言ったもの。


今回のカムバが終わった瞬間に浮かれてあれこれ考えていたもの。

Aさんともっと一緒に時間を過ごすためにやりたかったこと。


だけど、僕のせいで出来なくなってしまったこと。




jn「い、今ですか?」

『今です』

jn「こ、このタイミンで?」

『はい、今だからこそです。


とりあえずジュンさん、外出られます?』



………。


jn「は、ハオを召喚するので待ってください……あの、僕デートに着ていく服なんて持ってなくて、自信がなくて……その……。

と、いいますか…僕、正直に言うと。今Aさんの顔をちゃんと見てお話出来る自信すらないんです」



聡いこの人に変な誤魔化しは聞かない。たとえ電話口であっても。


ならば、正直に打ち明けようと思った。
さっきまであれだけ悩んでいたのに。




『うん、だからこそなんです。かっこいい服も顔も要らないです。


ベランダ、出られます?』

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なっつ(プロフ) - 素敵な作品に出会えて一気に読んでしまいました…!これからも楽しみにしています。 (10月2日 1時) (レス) id: 1d12df4e5b (このIDを非表示/違反報告)
ムーンワーカー - 次の更新も待ってます!もう、めちゃくちゃ大好きです! (2023年3月5日 20時) (レス) id: 8899fe7fbc (このIDを非表示/違反報告)
ゆび - 一生大好きです……更新ありがとうございます………ずっとずっと楽しみに待ってました……ありがとうございます………幸せになれ……!! (2023年1月3日 1時) (レス) id: b9570136cf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2023年1月2日 1時

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