絶妙に知ってる乙女ゲーム新シリーズの住人になった件

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ハユンと遊んで帰った後。


ひとり暮らしの良いところはリビングで独り言を思う存分できることだと思う。


『まずは今覚えてるゲームのことを全部書き出そう』



適当に新しいノートを引っ張り出して情報を整列させていく。



楽しく過ごしたいけど、正直この生活を続けていくと今ある記憶が薄れていくのが怖い。


向こうの生活、友人、ゲームの内容。見返して思い出せるようにしたい。



それと件の乙女ゲームについて。
親友の聞き流してたけど毎日念仏のように情報を唱えられていたのだ。ざっくりした内容は覚えてる。


『ヒロインが入学した日にここに来たから…やっぱりゲームのシナリオが終わらないと向こうに戻れないのかな』


中途半端だが攻略対象達の情報を持って飛ばされた私。


何か意味があるとするなら、ヒロインと誰かをくっつけるお助けキャラとして呼ばれたとかなのだろうか。

何がトリガーになってこんなことになったのか分からない以上、可能性としてはその流れが1番高い気がする。



毎回ゲームのシリーズでの舞台設定もチームの様子も変われど基本的なキャラのステータスや性格、好みは変わっていなかった筈。


それを使ってヒロインの恋を成就するのを見守ればいいのだろうか？




『いや、にしても奴らに近づきたくねえな…』

見目麗しい顔立ちはそりゃ好きだけど極力接点を作らずに誰かとの恋を応援したい。

だって画面越しでずっと見ていたキャラクターが実際に目の前に居ますとか。

頭が追いつかないしほんとに自分は異世界に来たんだなって毎回解らせられそうで。

なんとなく、顔を合わせるのが怖かった。

乙女ゲームの攻略キャラクターなんだもの。
個性豊かな彼らは見た目も性格もバラバラだけど、あれだけの支持を得ていたのはプレイヤーの誰かしらの心をぐっと掴む子が1人はいるということ。

悪い人達じゃないのはわかってるんだけど。



無下に扱っても変に遠ざけても逆に気を引いてしまったり目立っておかしいだろうから自分からは近づかないですれ違っても平常心で皆に馴染もう。





『……ヒロインには頑張ってもらわないと』

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