微 睡 む 空 気 で 。2 - 北 信介

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あっという間に1日が過ぎ、もう放課後の時間。






　




楽しみだね、でも緊張だね、いっぱい来てくれるといいね、なんてバンドのメンバーと話す。
今日やる春の曲は本当に大好きな曲で。そういえば、北くんと好きな季節の話したな〜なんて思い出す。北くんは冬が好きって言ってたなあ。冬の曲たくさんやるから、クリスマス頃にやるライブも遊びに来てほしいな。















って、なんで本番前に北くんのこと考えてるの！ばかばか！今は集中しないと。












基本私は、楽しみが勝つから緊張はあまりしない方だけど、今日は別。なぜかというと、謎に演奏順が1番最初だから。












奥のスタジオからちょこっと顔を出して見てみると、会場には既にたくさんの生徒が集まっていた。だれが1年生かとかあんまり分からないなあ。













でも、やっぱりこんなふうに集まってくれている人たちをみると、楽しみー！が勝つ。そろそろ出よっか、とメンバーに声をかけて各自必要なものを持ってスタジオをそっと出る。私は愛用のギターを持ち、ストラップを肩にかけ出る。このストラップ、新しくしたお花の刺繍が入ってるやつ、可愛くてお気に入り。♡












私たちがステージに上がると、おお〜という声が小さく聞こえてくる。ステージといっても、ライブ会場は普段の授業でも使っている少し広めの教室だから距離は近い。ギターをアンプに繋いでチューニングをする。













ふと顔を上げてみると、前から3列目くらいのところに北くんとアランくんと純夏が見える。純夏はちっちゃく手を振ってくれている。











3人とも近いなあ、緊張する。歌ってるとき、目が合っちゃったらどうしよう！










とか思いながら、チューニングが終わりギターをそっと抱える。このギターは、私が小学生の頃父親からもらった大切なギター。「自分と同じくらい大切にしなさい。聴いてる人にも、きっと伝わるよ。」といってもらったギター、ずっと一緒に過ごしてきた。その言葉はおまじないみたいだ。今日もどうぞよろしく、と心で伝えてマイクの前に立つ。

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