プロローグ ページ2
LN side
『はぁ……』
最近ため息が増えた、私の友達。
親友であり、家族であり、ライバルでもある私たちの大事なメンバー。
LN(ｿﾆｮﾝ)「幸せ、逃げちゃうよ。」
『ん、だよね。』
初めて会った時は、もっと幸せそうに笑っていたはずだ。
その笑顔を曇らせてしまったのは、デビューしたての時に彼女に向けられたアンチファンの心ない言葉。
日本人というだけで向けられた悪意。
結果それがトラウマになって、この国で日本人が認められつつある今でも彼女は自分に自信が持てないでいる。
『ソニョン、』
LN「ん？」
静かな宿舎に、私たちの声だけが響く。
『来ないね、カムバックの話。』
「4 Walls」以来、f(x)はカムバック出来ていない。
アンバーオンニと私とAと、３人でちょくちょくSTATIONに参加するだけ。
この状況がまた、彼女を卑屈にする。
『私たち、大丈夫かな……』
元々華奢な身体つきのAがますます小さくなったような気がして、堪らずその背中を抱きしめた。
LN「大丈夫だよ！今年こそカムバックできるって。」
Aを元気づけるのと同時に、自分にもその言葉を言い聞かせる。
大丈夫、きっと今年こそは……
みんな揃ってステージに立てる。
『……ふふ、そうだね(笑)。
その時のために練習しなきゃ。
ちょっと事務所行ってくる。』
練習着の入った大きなカバンを下げて、Aは玄関に消えた。
その背中を見送りながら、私はある人にメッセージを送る。
LUNAオッパ、今行ったわ。時間があったら行ってあげて。
Aを励ましてあげられるのは、昔からあの人だけ。
だからあの人に、Aを託す。
?わかった。少し時間があるから行ってみる。
その返信を見て、安堵の息が漏れた。
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作者名：mayumayu | 作成日時：2018年4月20日 16時
