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開いた道の先に ページ8

背後のディアルを気にしながら
先を急ぐ。
アローズはディアルの蜂蜜パンを
終始気にしていたようだが。
「お、なんか光ってるぞ」
シャギルが指差す方を見ると、
緑に発光するひし形の宝石が
浮いていた。
「…あれは…!」
アローズがぱっと走り出した。
慣れた手つきで操作すると
半透明の操作ウィンドウが現れた。
「なにをやっている」
「……」
質問には答えず、アローズは黙って
フライパンとフライ返しを取り出した。
「…いきなりどうしたの?」
「実は…私はとある任務でこの都市に
 来ていたんだ」
言いづらそうに言い始める。
「言っていなかったが私は……魔族なんだ…っ!」
「…………うん」
「なぜ驚かない!?」
「そりゃあ…」
地獄の番犬と恐れられるケルベロスなのだから
驚くも何も、というべきだろうか。
額に第三の目がある人間など
聞いたこともない。
「む…ばれていたのなら仕方がない。
 私はここで離脱せよとの命令があった」
「そりゃまたいきなりだな」
「お前たちも気をつけろ、と
 言いたいところだが
 せっかく出会ったのだ。
 お前たちを支援させてくれ」
威勢よく腕まくりをして返事を
待っているアローズ。
「いや支援って…、何ができるの?」
「ん?ああ、私の職業は《料理人》コックなんだ」
「…はい?」
「だから迷宮料理の料理人なんだって」
「あ、ああの有名な!?」
「知ってるのかアリア」
意外そうにライベルグが腕を組んで尋ねた。
「あたしがとってる情報誌の中に
 週一で料理特集の雑誌が入ってるのよ。
 『週刊樹海料理』ってやつ。
 今週は『秘境の迷料理』っていう
 迷宮でとれた食材で作る
 新しい料理なの!」
目をきらきらと輝かせて熱く語るアリア。
「今回は特別に腕によりをかけて
 戦闘メニューを作ろう」
言うが早いか、アローズはあっという間に肉を捌き
食材を刻んで手早く調理を始めた。
あたりに香ばしい匂いが漂う。
「ほら、できたぞ」
アローズは腕を真横に振った。
すると何もない迷宮の一角に豪華な
テーブルとイスが出現した。
「テルジラパンとトマの実のルビー酒煮込み
 樹海ハーブを添えて。
 オリジナルの料理だ。食ってくれ」
「…いただきます」
噛むほどに肉汁が溢れ出てくる。
テルジラパンは程よく柔らかくアローズの
腕前を感じさせた。
気が付けば疲れはとれていて体は軽く
戦闘時の補助攻撃効果が付加されていた。
アローズに別れを告げ
一行はついに一階層の最深部まで
たどり着いたのであった。

最深部で見たもの→←邪悪なる吐息は耳元に



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設定タグ:小説 , 冒険 , 魔法   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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The - 面白いです (2015年12月26日 23時) (レス) id: 6bb41c1304 (このIDを非表示/違反報告)
シャイン&ダーク - ディアルチョロいな (2015年10月9日 23時) (レス) id: 5b2ad4fb97 (このIDを非表示/違反報告)
コバルト(プロフ) - ありかどうございますー!これからも個性的なキャラを出していきますのでよろしくです! (2015年10月7日 8時) (レス) id: 0b47d786fb (このIDを非表示/違反報告)
ちーくん - この作品大好きです! キャラ&が面白いー笑笑 これからもファンです応援してます! (2015年9月27日 19時) (レス) id: db2d6b81b2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夏川コバルト | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2015年9月2日 23時

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