検索窓
今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:9,363 hit

相棒はぬいぐるみ ページ34

ライベルグが指差した方向には、今までと同じ
灰色の壁があるだけだった。
「…?壁しかねぇけど」
「そうだね…」
アルデンクはしばらく壁の前に杖をかざしたり、叩いてみたりして
何か異変はないか確かめていた。
「…おかしいなぁ。何もない」
「遂に幻覚でも見たってのかよ。くそっ」
シャギルがやけくそになり、足元の壁を強く蹴った。
すると突然二人を振動が襲った。
「はあっ!?」
「ちょっと!何をしたんだいシャギル!」
「俺はただ壁を蹴っただけだよ!」
激しい揺れが収まると、壁のあった場所には空間が広がっていて
埃を被った階段が大きな口を開けていた。
「…これを降りたらいいのか」
「そう…なるだろうね」
シャギルはごくりと唾を飲むと、元の部屋に引き返した。
起き上がれないライベルグを背中に負う。
「…っ…置いて、いけと…っ」
痛みで絞り出すように喋るライベルグ。
「お前怪我してるから一人になったら危ねぇだろうが」
未だ見つけていなかった第三階層へと続く階段を
頼りない光で下っていった。


「どこだろう…ここ」
冷たい床の感触を覚え、体を起こすシュルーフ。
背中に鈍い痛みを感じ更に膝から血が出ているのを見て
静かに回復都市文字を唱えた。
「アリュもいないし…」
周りは焦れったいほど薄暗い。
手探りで床をまさぐると「たたっ」と声がした。
「グリューン!」
「なんだシュルーフかぁ。びっくりしたぁ」
大きな緑色の塊が楽しげに話す。
「グリューンはここがどこだかわかる?」
「ううん。僕目は良くないからさ。暗いし」
「そうよねぇ…」
ひとまず暗いとどうにもならない。
グリューンを抱きかかえ、きつく抱きしめる。
「ランプになって。グリューン」
「え?なんで?」
「……え」
いつもなら、あっさり変身するのに、と
ここまで考えてぼとりと『グリューン』を落とした。
「いたたっ。なにすんだよぅ」
「あなたグリューンじゃないですね」
「ええ〜何言って…」
首元で生暖かい息がかかった。
「ようやく気づいたんだね…?」
くあっと口が開かれたのを感じて
シュルーフは叫んだ。
「グリューン!」
耳元でざんっと見事な斬撃の音がした。
「おまたせシュルーフ。ごめんね」
「大丈夫」
手に柔らかい感触がした。
あたりがオレンジの光で照らされる。
グリューンがランプに変身したのだ。
「多分そいつは僕と同じの変身するやつだよ。
 気をつけて」
「あなたがいるなら問題ないわ」
闇に慣れた目で虚空を睨んだ。

灰色ウサギの笑み→←アリアの行方



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (15 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2人がお気に入り
設定タグ:小説 , 冒険 , 魔法   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

The - 面白いです (2015年12月26日 23時) (レス) id: 6bb41c1304 (このIDを非表示/違反報告)
シャイン&ダーク - ディアルチョロいな (2015年10月9日 23時) (レス) id: 5b2ad4fb97 (このIDを非表示/違反報告)
コバルト(プロフ) - ありかどうございますー!これからも個性的なキャラを出していきますのでよろしくです! (2015年10月7日 8時) (レス) id: 0b47d786fb (このIDを非表示/違反報告)
ちーくん - この作品大好きです! キャラ&が面白いー笑笑 これからもファンです応援してます! (2015年9月27日 19時) (レス) id: db2d6b81b2 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:夏川コバルト | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2015年9月2日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。