敵は高みの見物を決め込んで ページ32
「痛っ…！！」
ぴちゃん、と音を立てて水が落ちる。
アリアとシャギルは痛みで叫んでいた。
「くっ！いてぇっ！」
慣れない回復都市文字を詠唱してみるが、
治っていく肉に更に金属が食い込む。
「ちょっ…！アルデっ…く、どうにか」
「しようとしてるから、ちょっと待っててよ」
アルデンクはビッ、と杖を前に構え、先端を龍の頭に向けた。
「《聖霊変換》！」
アルデンクの職業、《錬金術師》の固有術式が発動し
龍の口から絶え間なく吐き出されていた水は静かな風に変わった。
「いってぇ…！あー…あ？」
痛みが次第に消えていく。
「…おい、お前何したんだ」
「難しいことはしてないよ。
ただ別のところにいた聖霊を入れ替えただけさ」
アリアが恐る恐る傷口を見ると
血は出ていたが金属は見当たらなかった。
「それにしても、ここの聖霊はなかなか高位の聖霊らしいね。
入れ替えるにしても同等の聖霊を
呼び出さなきゃならないから少し苦労しちゃったよ」
再びアリアは詰まりながら回復都市文字を詠唱した。
じんわりと傷が塞がっていくのを見ながら
シャギルにも詠唱してやる。
「お、サンキュ」
なんとか状態を立て直し、何もない部屋から
出ようと穴を見た瞬間。
「《聖霊変換》」
背後からの声。
慌てて後ろを見ると何もない。
首を傾げていると野性的勘で感づいたシャギルが
剣を抜いて叫んだ。
「上からだ！水に気をつけろ！」
上を見上げると目の前に雫が迫っていた。
「ッ！」
(倍速術式！)
脚の速さを極限まで高める術式を無詠唱し、
音を置き去りにして飛び退いた。
アリアがいた場所に雫が落ちる。
アリアは見えない標的に向けて剣を抜いた。
「二人とも！鼻と目ぇ塞いで！」
「えっ」
「あぁ！？」
アリアは剣を振りかざし、床に突き立てた。
「《夢という名の毒》トラオム・ギフト！」
波のように剣から発せられた毒素が
あっという間に部屋を満たした。
シャギルとアルデンクは部屋の外に行ったようだ。
「うっ」
呻き声を捉えたアリアの脚が動き出す。
声がした方向には、何もいなかった。
「！」
気配を感じ振り向きざまに切り払う。
「あっ…ぐ…ッ」
「え…？」
どっと倒れ込んだ人影の顔をのぞき込んだ。
見間違いでありたかった。まさか。
まさかそんなことがあるなんて。
「ライベルグ…？」
アリアが切ったのは消えていたライベルグだった。
背中に、冷たいものが滑り落ちる。
背後にシャギルではない何者かが立っていたが、
そんな余裕すらなかった。
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The - 面白いです (2015年12月26日 23時) (
レス) id: 6bb41c1304 (このIDを非表示/違反報告)
シャイン＆ダーク - ディアルチョロいな (2015年10月9日 23時) (レス) id: 5b2ad4fb97 (このIDを非表示/違反報告)
コバルト(プロフ) - ありかどうございますー！これからも個性的なキャラを出していきますのでよろしくです！ (2015年10月7日 8時) (レス) id: 0b47d786fb (このIDを非表示/違反報告)
ちーくん - この作品大好きです！ キャラ&が面白いー笑笑 これからもファンです応援してます！ (2015年9月27日 19時) (レス) id: db2d6b81b2 (このIDを非表示/違反報告)
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