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焦りは禁物 ページ29

「は?」
アリアの剣呑な物言いを無視して
少年は背を向けた。
「馬鹿みたいな仲間ごっこやってるよりかは
 僕らと一緒にいたほうがいいだろうからねえ」
灰色のウサギは牙をぎらつかせて笑った。
「まあ消えるとしたら、闇の人間だろうね」
「グラオ。…喋りすぎだ」
「あらら。ごめんねえ」
グラオは悪びれもせずに笑った。
「俺の名はジレン」
ジレンと名乗った少年はちらりと
アルデンクを見て、やがて姿を消した。
「アリア。すぐにでも」
「わかってる。行くわよ」
アルデンクはオレンジのランプの光を
自身の杖の先に移動させた。
「ねえそれ、維持魔力結構かかってるんじゃ」
「大丈夫だよ。行こう」
アルデンクはアリアの声に被せるように
答え、何も言わずに進み始めた。

***

「あ、宝箱」
がちゃん、と開いた宝箱の中には
また茶色にくすんだ紙が入っていた。
「…太陽と、木。あとは、花?かな」
アリアは先ほど見つけた
月夜の紙と重ねてポシェットにしまった。
「アリア、もういいかい?」
「あ、うん。ごめん」
黙々と歩き始めたアルデンクの後を追う。
しばらく何の会話も無く、
一行は無言で歩き続けた。
「おい」
「なによ、どうしたの?」
「お前じゃない。アルデンクだ」
呼ばれたアルデンクが
普段では絶対見せない仏頂面で振り向いた。
「なんだい?」
「いい加減やめろ、それ」
ライベルグの言葉に一瞬呆然とした。
そして罰が悪そうに顔を背けた。
「…すまない」
「あ、いや。シュルーフが心配なのは
 みんな同じだって言いたかったんだ。
 悪い。言葉が足りなかった」
二人して重苦しい空気を周りに充満させていく。
後を歩いていたシャギルが
頭の後ろで手を組んだ。
「あー…なんかお前ら重いなー…。
 そんな考え込まなくたっていいだろ。
 仲間がいなくなった。心配だ。助けたい。
 それでよくねぇか?」
シャギルの意外な一言に気が抜けた。
なんとかなったかな。
見計らってアリアが声をかけた。
「いいところ悪いんだけどさ」
「どうした」
アリアは腰の剣を抜いて剣先で
カンカンと灰色の壁を叩いた。
「この先なんかいるっぽい」
「おー…それで?」
「ぶち抜いていい?」
シャギルは首を傾げ、アルデンクは目を見開いた。
「ま、いいか」
アリアは剣を突きの姿勢で構えると
静止した。

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設定タグ:小説 , 冒険 , 魔法   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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The - 面白いです (2015年12月26日 23時) (レス) id: 6bb41c1304 (このIDを非表示/違反報告)
シャイン&ダーク - ディアルチョロいな (2015年10月9日 23時) (レス) id: 5b2ad4fb97 (このIDを非表示/違反報告)
コバルト(プロフ) - ありかどうございますー!これからも個性的なキャラを出していきますのでよろしくです! (2015年10月7日 8時) (レス) id: 0b47d786fb (このIDを非表示/違反報告)
ちーくん - この作品大好きです! キャラ&が面白いー笑笑 これからもファンです応援してます! (2015年9月27日 19時) (レス) id: db2d6b81b2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夏川コバルト | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2015年9月2日 23時

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