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真っ黒な救世主 ページ18

「それってどういう…」
かすれた声を絞り出していた喉が限界を迎えて
咳込んだ。
「無理して喋らないで」
「うぐっ、げほっ…」
優しくシュルーフが背中を擦る。
「優しく…しないで、げほっ」
「今はそれどころじゃないです」
煩わしげなティールを一蹴した。
「どういうことかなんて、」
シュルーフはシャギルに指示を飛ばしながら
戦っているアルデンクを見て
それからティールの目を見て言った。
「これからを見ていればわかりますよ。
 少なくとも、私たちが負けるなんてことはありませんから」
「ディエン様、を侮らないほうがい、い…」
空中で高みの見物を決め込んでいるディエンを
シュルーフは睨みつけた。
余裕の笑みを浮かべ、シャギルたちの戦いを肴に
ルビー酒を飲んでいる。
「…もう少しで来ます」
「え…」
「強い闇が来ます」
意味がわからず首をひねる。
「だから、不安になることはありません」
ティールはビクリと肩を縮ませた。
***
「………っ」
辺りを見渡すと闇が広がっていた。
実際闇かどうかはわからない。
自分がちゃんと存在しているのかもわからない。
「…ぁ、あ」
なんとか出した声はかすれていて
自分のものとは思えなかった。
でも声のおかげで喉があるとわかったし
目も開いた。髪の毛が動いた。
手が動いた。足の感覚があった。
身体が存在した。自我を確認した。
記憶も残ってる。
何かを思い出して、忘れていた。
「そう、か…」
言葉になった声は、少女にすべてを思い出させた。
フラッシュバックしたものはとりあえず置いて、
あとで迎えに来よう。忘れないように。
「みんな、ごめん…!」
アリアは何もないところに足場を作り出した。
ここから出る方法はわかっていた。
創造すればいい。ここは自分の闇だから。
日和っていた脚に力を込め、蹴った。
さっきはなかった光が見える。
その光のトンネルを抜けて…………!


アリアは目を覚まし、同時に起き上がった。
「!!」
傍にいたシュライが驚いてのけぞる。
「剣!」
「お、う!」
すごい剣幕に気圧されつつ、持っていた剣を差し出した。
受け取ると同時にアリアは駆け出した。
走りながら鞘を投げ捨てると
ダァンッ!
と勢いよく踏み切って跳躍した。
ディアルの目線の高さまで飛び上がると
アリアは脳天をかち割るように
剣で上から下まで押し切った。
「お待たせ!」
黒髪をなびかせ、アリアはニヤリと笑った。

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設定タグ:小説 , 冒険 , 魔法   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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The - 面白いです (2015年12月26日 23時) (レス) id: 6bb41c1304 (このIDを非表示/違反報告)
シャイン&ダーク - ディアルチョロいな (2015年10月9日 23時) (レス) id: 5b2ad4fb97 (このIDを非表示/違反報告)
コバルト(プロフ) - ありかどうございますー!これからも個性的なキャラを出していきますのでよろしくです! (2015年10月7日 8時) (レス) id: 0b47d786fb (このIDを非表示/違反報告)
ちーくん - この作品大好きです! キャラ&が面白いー笑笑 これからもファンです応援してます! (2015年9月27日 19時) (レス) id: db2d6b81b2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夏川コバルト | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2015年9月2日 23時

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