悠久の時を駆ける 2

どれがいい？爆発？切断？ ページ14

シュルーフは不敵に笑いながら
グリューンを変形するほどに抱き締めた。
ぐにゃりと形が崩れると、あの大きな鎌を振りかざし
肩に担いだ。
「首切り裂かれるのと、胴体と脚切り離されるのと
　頭から脳天かち割るのと五体をバラすの、」
どれがいい？とシュルーフが小首を傾げると
ティールはぶあっと汗をふきだした。
「私としてはどれでも良いけれど…」
女王のような微笑みで斜めから見下ろす。
「せっかくだから決めさせてあげる」
そう言ってひた、と首に鎌を沿えた。
触れるか触れないかで大鎌が止まる。

「シュルーフ」
ふと声をかけたのはアルデンクだった。
何気なく、落ち着いた声で。
「どうしたのアリュ？
　貴方に私を止める権利はないわよね？」
「ティールさんには明らかに敵意が感じられない」
そう言いながらシュルーフの鎌に手をかけた。
「止めてくれないかい？」
「…」
明らかに不服そうにアルデンクを睨む。
その様子をティールが不安そうに見ていた。

「…は、わかったわよ。やめるわ」
「ホントか「嘘よ」…え？」
アルデンクの懇願を振り切りシュルーフは
鎌を振りかぶった。
「あっ…」
ティールの首すれすれで鎌は止まっていた。
「っぶないなぁっ！」
アルデンクが肩で息をしながら初めて声を荒げた。
「まったく、馬鹿なのか！？
　当たったらどうするんだよ！」
「もちろん私が治してたわ」
鎌と首の間で光る何かが邪魔をしている。
「…何よこれ」
「【錬金術・聖霊硬化】。
　ここら一帯にいる聖霊達を固くして
　ティールさんを守ったんだ。
　都市文字の組み立てが間に合って良かったよ」
やれやれ、と頭を振ってシュルーフを睨んだ。

「あーあ、まーたやらなくちゃ」
「何のこと？」
「今日は誰も傷つけなくて良かったよ」
「？…っ！」
シュルーフの顔にアルデンクの顔が重なった。
と、即座に離れる。
「…戻った？」
シュルーフは鎌を抱え、目を白黒させていた。
「ご、ごめん…また？」
「なってた」
怒気を含んだ物言いにシュルーフが小さくなった。
「ほんとにごめんなさい…」
「別にいいよ。
　おかげで僕はそうそうにファーストキスを
　終えたんだから」
「ご、ごめんん…」

アルデンクはティールの方に振り向いた。
目の前に迫り来る鎌の勢いで気絶していた。
「シュルーフ、」
「は、はいっ」
「蘇生しといてね」
「わ、わかりました…」

何だかんだ進展している二人だった。

残虐心の欠片→←休憩中です。

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