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壊れた完璧人間と ページ12

「はあああっ!」
満身創痍だがそれも仕方のないことだ。
「アリアさんっ!」
止めるシュルーフの声を振りきって
アリアはバリアから反転しながら飛び出した。
前に集中していたティールがアリアを見て
目を見開いた。
「なっ…!貴女はさっき回復したばかりのはず!
 どうしてもう動けるの!?」
「よく見てるわね!」

慌ててツタを伸ばすが余裕で見切れる速さだ。
横に一閃すると魔力を持った棘は
一瞬にして粉々になった。
「っ…!」
息を呑むティール。
その喉元にはぴたりと剣がそえられていた。
「…殺しなさい」
張りつめていたアリアの表情が和らいだ。
そのまま剣を下ろす。
「悪いけどそんな物騒なことはしたくないの。
 話くらいは聞いてくれるでしょ?」
「……」
「…沈黙も了承の印ってことにしとくわ。
 それでいい?」
「……」
「ま、いいか」

片付いたよー、とアリアがギルメンに振り向いた
瞬間、各々の顔に緊張が走った。
今度はアリアの喉元にあのツタがそえられている。
「逃れる手はないと言ったでしょう。
 全員は無理でもこの人を道連れにはできます」
アリアは首を竦めてティールに告げた。
「悪いけどあたしを殺しても
 誰も悲しまないわよ?」
「…は?」
あくまでアリアは真面目に語っているのだが、
様子がどうもおかしい。
「だからあたしを殺しても意味ないってこと。
 どうせギルメンが崩れるとでも
 思ったんでしょ?それ大間違い」
壊れた笑い声を出しながらアリアは喋り続ける。
「みーんなあたしがいなくても
 生きていけるんだよ?
 あたし一人いなくなったところで
 なーんにも変わんないんだよ?
 それってすっごくおもしろいよね」
アリアの笑い声がフロアいっぱいに響く。
「ちょっ「もういい」」
ティールの声にかぶるように
黒い影がアリアを引っ張った。

「戻ってこいアリア。
 俺たちにはお前が必要だ」
糸の切れた人形のようにかくん、と上を向いた。
そしてもう一度かくん、と下を向くと
そのまま横に倒れてしまった。
「アリア!」
シャギルが駆け寄ろうとしたところを
シュライが腕で止めた。
「…アリアの闇を知っても
 『そこのところ』が変わらなかったら
 褒めてやろう」
シュライはシャギルの心臓の部分を
とん、と軽く押した。
シュライはアリアの膝と首の下に
腕を差し込み抱き上げた。

「…しばらく誰も寄ってくるな」
誰も喜べない攻略完了だった。

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設定タグ:小説 , 冒険 , 魔法   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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The - 面白いです (2015年12月26日 23時) (レス) id: 6bb41c1304 (このIDを非表示/違反報告)
シャイン&ダーク - ディアルチョロいな (2015年10月9日 23時) (レス) id: 5b2ad4fb97 (このIDを非表示/違反報告)
コバルト(プロフ) - ありかどうございますー!これからも個性的なキャラを出していきますのでよろしくです! (2015年10月7日 8時) (レス) id: 0b47d786fb (このIDを非表示/違反報告)
ちーくん - この作品大好きです! キャラ&が面白いー笑笑 これからもファンです応援してます! (2015年9月27日 19時) (レス) id: db2d6b81b2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夏川コバルト | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2015年9月2日 23時

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