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「無かったことになってるはずです、そう出ないと他の人の人生壊れかねませんし」
『なんで宮舘さんは覚えてるんすか』
「私が貴方のことこちらに戻したので」
「確かに6、7年前私は貴方とお話してこの白猫に帰すよう頼みました。そしたら今日その時ぶりに来たんです」
『……わざと追いかけさせたんですか？』
「ちゃんと自分以外の幸せ願ったじゃないですか」
神主なのにブーツなのも、
姿勢がいいのも視線ずらさないのも
この人はなんも変わってなくて、
本当に俺らの中にしか残ってない記憶だと思い知らされる。
「墓場まで持っていってくださいね、その記憶は」
『……はい』
「引き出し開けたら異空間〜ができたらその必要ないですけどね」
『……宮舘さん友達います？』
「1人だけいますよ」
そう言った瞬間
タイミングよくお盆を持って現れた1人の男性
俺と宮舘さんが2人して見るものだから、
なんですか…と眉間に皺を寄せてしまった
『宮舘さんのご友人ですか』
「えっ、俺……ですか？」
「友達です」
「いやどちらかと言うと弟子、ですよ？」
「友達です」
「舘様？？」
『舘様！？』
阿部と名乗ったその人は
この6、7年の間にここに来たのか
宮舘さんとは違ってちゃんとした神主の格好をしていた。
『なんか、ワケありっすか？』
「ん〜まあ、ごにょごにょと。渡辺さんと同じく墓場まで持っていか無ければならない記憶のある人間です」
にこやかな笑顔振り向いて
そそくさとその場から居なくなってしまった。
「で、どうですか、現世に戻った感触は」
『まあ……相変わらず風当たり強いし辛いこと多いって感じですけど……姪っ子の事考えると良かったかなとは』
まだ恨んでるし今後一生許すことは無いと思う、
けれど正直気にしてばかりいるのは
癪に障ると思えるようになった。
満足気なドヤ顔を決められたけどあえて触れないでおいた。
本堂から出て今度はちゃんと賽銭を入れて手を合わせる
「もうひとつくらい出来ることあると思いますよ」
帰る間際に宮舘さんに言われたことで
何となく言いたいことを理解出来て満足。
あえてまた元近所のおばさんたちの前を通って
わざと頭を下げて通ると
さっさと家に引っ込んで行った。
所詮こういうやつしか覚えてないんだから。
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chirua(プロフ) - ！さん» ご感想頂きありがとうございます、とても嬉しく光栄です。今後ともどうぞよろしくお願いします (11月3日 16時) (
レス) id: 9ab6ec17b9 (このIDを非表示/違反報告)
！(プロフ) - 久しぶりにこのサイトでとても引きこまれる作品を読みました。彼が少しでも幸せだなと思える日が来ることを願っています。次回も楽しみにしております。 (11月2日 23時) (レス) id: 50e233f32f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：chirua | 作成日時：2023年10月10日 17時
