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そこから何時間経ったのか定かではない。
窓もなければ時計もない。音も聞こえない何もない。
白い空間がそこにあるだけ、
その空間で2度目の危機にあっている
『トイレ…行きたい……』
しかし一度冷静になって気がついたことがあった。
私結束バンド取れるじゃん。
前にコードを束ねていた結束バンドを
はさみ無しで取りたくて調べたことがあった。
幸いにも自由な右手で試してみると、
少し手こずったものの外すことができてしまった。
なんだか怖いくらいに呆気なく開放されて
『死亡フラグ……?』
苦し紛れの冗談を言い聞かせるようにして呟いてみた。
恐る恐る扉に手をかけると
鍵はかかっていないようですんなり開き、
長めの階段を音を立てないように恐る恐る登っていくと
リビングのような場所に出た。
ここにも鍵はついていない。
午後14:40。ここに来てから1日程経過していた。
簡単な脱出が亮平くんの計算ミスとは思えなかった為、
慎重にも慎重を着して取り敢えずお手洗いに。
『外出中、なのかな、』
そのまま戻ろうか迷いつつ、
外に出る為にもここがどこか知るのに部屋を物色して
端末を探すべく、1番手前にあった部屋の扉を開けてみる。
幸運にもパソコンのある部屋でそこに向かって一直線に
「やっぱり解けちゃったか」
『ひっ、』
視線を向けると部屋の角に座って読書をしていた亮平くん。
やっぱり自宅だったと気付く。
「このまま逃げてもいいよ?」
『…もう二度と連絡は取らないから』
チャンスだと踵を返そうと足に力を入れた時だった
「Aが逃げたら恋人は殺すけど」
耳を疑うその発言に睨みつけるように様子を窺うが、
彼の視線は手元の本。大学の時も読んでいた。
「それが嫌ならここで1ヶ月だけ、俺の彼女になってよ」
『……嫌って言ったら』
「だから、恋人は死ぬよ。途中で逃げても」
『…1ヶ月彼女でいたら』
「そのときは好きな所に帰りなよ」
私のせいで辰哉くんを危険な目に合わせるくらいなら。
『……1ヶ月。1ヶ月だからね、約束守ってよ』
「うん、もちろん」
満足気な笑みを見せる彼はもはや誰なのか理解ができない
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chirua(プロフ) - らんさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます;;完結まで是非よろしくお願いします︎☺︎ (9月6日 16時) (レス) id: 9ab6ec17b9 (このIDを非表示/違反報告)
らん - めちゃくちゃ面白いです!阿部くん最高すぎます!更新楽しみにしてます☺️ (9月2日 1時) (レス) id: 07ae00cca1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:chirua | 作成日時:2023年8月30日 13時