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散々騒いだあと
ベンチに座った私の膝の上ですーすーと寝息を立てている。
こんなに伸び伸び遊んだのいつぶりだろうね。
「……ありがとう、会わせてくれて」
『……パパに会いたいって聞かないから、』
「そっか……人見知りないね」
『辰哉くんに似たのかも』
「笑った顔Aそっくりだったね」
『辰哉くんじゃない？』
「うそお」
千佳の額に滲んだ汗を優しく拭う。
「大変な時に何も出来なくてごめん」
『……ううん、そもそも私が何もしてないって分かった時に会いに行けばよかった話』
「傷つけたのは俺だから」
この4年弱の溝を具現化するように
座った間に空いた隙間を風が通り抜けていく。
私の好きな香水の香りがする
『本当は辛かった事、全部ぶつけるつもりだった』
「…」
『でも今何も出てこないの、むしろ』
『会えて嬉しいって思っちゃう自分が嫌』
最近涙腺が弱い、ことある事に泣いちゃう。
私は一途に信じて好きでいたのに、
彼は裏でコソコソ何人ものの女と会って好き勝手して。
親友に脅されて私が居なくなって初めて気がついて、
失って気がついて。
ダメ人間なはずなのに、どうも私が離れられずにいる。
「Aにそう思わせちゃってるのも俺だよね、……最低なのに変わりない。これからも責任は取る」
『……じゃあさ』
責任＿＿
その言葉に言わずには言えなくなってしまった。
誰にも相談せずに黙って考えていた事
『ここに名前書いてよ』
「え、これ……」
カバンの端に押し込んでいた紙切れを
辰哉くんの前に出して指さす
戸惑いのまま何も発さなくなった彼の手に
無理無理ペンを握らせた。
「まってまって、これ……婚姻届だよ、」
『法律に一生責任負いますって誓ってよ』
正式な私の旦那として、
この子の父親として、
家族の大黒柱として、
過去の過ちという重い十字架を背負って責任を負いますと。
誓って欲しかった。
どこにも逃げ場がない状況で、償えと。
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chirua(プロフ) - らんさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます；；完結まで是非よろしくお願いします︎☺︎ (9月6日 16時) (
レス) id: 9ab6ec17b9 (このIDを非表示/違反報告)
らん - めちゃくちゃ面白いです！阿部くん最高すぎます！更新楽しみにしてます☺️ (9月2日 1時) (レス) id: 07ae00cca1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：chirua | 作成日時：2023年8月30日 13時
