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「なんでアイツが良かったの?」
『アイツって……』
「答えて?」
ふっかとすら呼ばずにアイツと。
どこに隠し持っていたのか
手元に強く握られているカッターを突き付けられ、
彼の強めの口調に喉がひゅっと音を立てる。
『そんなこと言われたって…』
ふと優しい笑顔を見せて、立ち上がった。
「俺の方が頭良いよ?時間ならいつでも開けるし、きっと将来お金には困らせないし、他の女と連絡だって取らない。それに」
『私は、辰哉くんがずっと…』
「嘘!!Aに好きな人なんていなかったよ!!」
口を挟んだ途端飛んできた怒号。
こんなに声を荒らげる彼を見たのはこれが初めて。
いつも温厚で優しくて、人当たりよくて落ち着いてて
優しくて尊敬できる先輩
血眼にして叫ぶ彼が同一人物だと思えなかった。
思いたくなかった。3人で過ごしてたあの時のことを
振り返れば振り返るほど、
亮平くんはこんな人じゃなかったと恐怖すら覚える。
「…ご飯持ってくるね」
くるりと背を向け出ていってしまった。
これからどうなるのだろう恐怖と寒さで
身体を震わせながら、
平然とした顔で亮平くんが持ってきてくれたスープを
空腹に負けて口にしてしまった。
睡眠薬や毒物や、はたまた……と思っていたが
普通に美味しくてしばらくしてからもなにも問題なかった。
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chirua(プロフ) - らんさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます;;完結まで是非よろしくお願いします︎☺︎ (9月6日 16時) (レス) id: 9ab6ec17b9 (このIDを非表示/違反報告)
らん - めちゃくちゃ面白いです!阿部くん最高すぎます!更新楽しみにしてます☺️ (9月2日 1時) (レス) id: 07ae00cca1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:chirua | 作成日時:2023年8月30日 13時