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「許せないのは当然だと思うよ。というか、許す余地無い訳でしょ。私もそんな先輩だと思ってなかったし」
『…うん』
「でも、ちーちゃんの気持ちは優先してあげたいって言うママの気持ちよね」
『……うん』
「とりあえず会ったらいいんやないの」
「ちょっと?」
会話の内容をぶった斬るような向井くんの発言に
思わず目を見開く。
「ちーちゃんのパパなんやから、ちーちゃんが会いたい言うなら会わせた方がええ。
AちゃんはAちゃんで今まで抱えてたものぶつけたらええやん」
「だからね、こーちゃん、そんな簡単な話じゃないから今こうやって…」
「ちーちゃんパパに会いたい言うて泣いてたんよ」
『え……?』
千佳が、泣いてた?
「前瑞稀とAちゃんふたりで話してて、俺がちーちゃん見てた時、ママに言ったら困らせちゃうから言えないけど言うて泣いてたんよ」
「肩車して貰いながら公園お散歩したい、て」
この子は泣くほど父親に会いたがっているのか。
'たーくんパパにたかいたかいしてもらったの!'
'さらちゃんのパパが遊んでくれた!'
'こーじくんの肩車高いんだよ!'
あの時もあの時も…千佳なりにアピールしてたんだ。
パパという存在に高い高いしてもらって、
遊んでもらって、こういうことしたいんだ!って。
瑞稀ちゃんは向井くんの発言に対して
怒って肩を揺すっていた。
千佳からしたら少しだけ身近な父親代わりみたいに
お兄さんしてくれていた向井くんにだけなら、
話していいと感じていたのかも。
「ママ?どこか痛いの?」
遊びに飽きて戻ってきた愛娘に顔をのぞき込まれる。
いつの間にか泣いていたのか丁寧に手で涙を拭ってくれた。
『千佳は…パパに、会いたい?』
「あえるの?」
『千佳が会いたいって教えてくれるなら』
「あいたい!!ちーのパパに会いたい!」
『うん、分かった』
あぁ、その笑顔が目の前にあるなんて知らなかったなあ。
その場で瑞稀ちゃん達にパパに会える事を自慢し始める娘。
「こーちゃんが肩車してあげよか?」
「いーい!パパにしてもらうもん!」
「あ〜振られちゃった」
「ええもん、俺はみずを肩車するもん!」
「やだ!!しないから!!」
その様子を他所に、私はどうにも涙が止まらなかった。
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chirua(プロフ) - らんさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます;;完結まで是非よろしくお願いします︎☺︎ (9月6日 16時) (レス) id: 9ab6ec17b9 (このIDを非表示/違反報告)
らん - めちゃくちゃ面白いです!阿部くん最高すぎます!更新楽しみにしてます☺️ (9月2日 1時) (レス) id: 07ae00cca1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:chirua | 作成日時:2023年8月30日 13時