2人の宝物 ページ27
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「いらっしゃい!久しぶり!」
「おお、大きなったなあ」
『なにその親戚のおじさん感』
「お兄さんやろ」
大学の時のバンド仲間
向井くんと瑞稀ちゃんふたりのお店。
オープンしてから定期的に通っていて、
その度に向井くんは娘を見てデレデレになる。
「これぱぱ?」
「そやで〜?」
『違いますよ〜』
結構なブラックジョークも平気でかましてくる。
「そういえばちーちゃんアレルギー検査どうだった?」
『驚くことになんも持ってなかったの、花粉症すらも』
「健康やな」
『大きくなるにつれて出る子もいるみたいだから気を付けてはいるんだけど、』
「気負いすぎひんようにな、ほいサービス」
『いつも申し訳ないんだけど』
「いいのいいの、こーちゃんのポケットマネーだから気にしないで」
千佳が私のもとに産まれてきてくれてもう3年10ヶ月。
色々と自分で出来るようになってくる歳みたいで、
お着替えもご飯もこだわりが出てきて
機嫌が悪い日は頬っぺをよく膨らますようになった。
ここに来ると借りてきた猫みたいに
何でも言う事を聞くもんだから
向井くんに褒められてばかり。
いつも満足そうに笑う娘が愛した人そっくりなことに
胸がギュッとする。
「そういえば、大丈夫やった?」
「ちょっとこーちゃん」
窓の外に夢中な千佳がこちらの話を聞いていない、
聞こえていないのを確認してから
『まあ、とりあえず……』
「どうするん?気にしてるんやろ」
『うーん……』
ふたりが目を合わせて不安そうな表情を浮かべる。
それはそうだ、昨日の千佳の言動を相談したからこそ
今日来たのだから。
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chirua(プロフ) - らんさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます;;完結まで是非よろしくお願いします︎☺︎ (9月6日 16時) (レス) id: 9ab6ec17b9 (このIDを非表示/違反報告)
らん - めちゃくちゃ面白いです!阿部くん最高すぎます!更新楽しみにしてます☺️ (9月2日 1時) (レス) id: 07ae00cca1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:chirua | 作成日時:2023年8月30日 13時