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『え…たつ、やくん……?』

「A………A!!」







ナイフの転がる乾いた音が響いた後、


ずっと望んでいた辰哉くんの温もりに包まれる。




好きな香水の香りと柔軟剤の香り、


そして鉄の匂い。



視界の隅に捕える彼の周りにできる血溜まり。







「怪我は!?逃げよう!」

『なにもっ……何も無いよ、』

「え?」

『手……』







赤く染った手を見つめたまま


フリーズしてしまった辰哉くんを見て


嘲笑う亮平くんの微かな声が聞こえてくる。







『どういう事……ねえ、』

「恋人を、殺す……誰も、っ…ふっかとは、言ってない」







息を荒くする亮平くんの言葉でハッとする。


また気が付けていなかったことがある、と。




彼女契約はまだ終わっていない、という事は



殺される"恋人"は







『亮平くん…最初からそのつもりなの……』

「もっとさ、人に……干渉しなよ」







不意に伸ばした手を握られて鳥肌が立つ。


生暖かく、力の入らない手。




それ以降まともな記憶がない。咄嗟に救急車を呼んだ。





刺したと言ったからか警察も来て、


強制的に辰哉くんが取り押さえられていた。




違うと抵抗しても、


亮平くんがいつの間にか目を閉じて



横たわっている状況は何も変わらなくて、


抱き締められた私に血液がついていることも変わらなくて、






なにも、






分からなくて。






分かりたくない。







なんでどうして?








全部私のせい?












『うっ……おえっ……』

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chirua(プロフ) - らんさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます;;完結まで是非よろしくお願いします︎☺︎ (9月6日 16時) (レス) id: 9ab6ec17b9 (このIDを非表示/違反報告)
らん - めちゃくちゃ面白いです!阿部くん最高すぎます!更新楽しみにしてます☺️ (9月2日 1時) (レス) id: 07ae00cca1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:chirua | 作成日時:2023年8月30日 13時

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