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タクシーに乗っている間、


1ヶ月以上身につけていなかったスマホの電源をつける。


無数の通知とメッセージ。







"A今どこ?"

"見たら連絡して"

"お願い、既読して"

"帰ってきて"

"A"

"俺が悪かった"







他にも何百件とある辰哉くんからのLINE。







"たつやくんいまどこ"







震える手で打った文字にすぐ既読が着く訳もなく、


自宅へ着いて自分の部屋まで急いで向かった。





1ヶ月以上開けたのにも関わらず


溜まっていない郵便物に違和感を抱きながらも


部屋の鍵を開けると見慣れた光景と共に、


異様な光景も広がっていた。






『辰哉くん!』





何かを探したような散らかり具合。


その中でも私の大切にしている置物は


微動だにせずそこにいることに気がついて、


辰哉くんの仕業だと気がつく。





いや、こんなことしてる場合じゃない。


早く、早く行かなきゃ





……





…………






『……あれ、無い。え、なんでないの、なんで』






いつもの場所もその周りも


色んなところも探し回ってるのに出てこない。



今一度鞄を確認しても無い。


見つからない。







『辰哉くん家の鍵……』







頭にネギの触覚が生えた


小さなマスコットが下がっているから、


隙間に行くことは無い。



そもそも無くしたことなんてなかったのに見当たらない。




スマホの通知音が鳴る。



無情にもそれは辰哉くんからで、







"今助けに行くから"







と。



助けに……行く?



それってもしかして、


今から亮平くんの自宅に行くってこと?




いやでも卒業してから会ってないはずの辰哉くんが


自宅を知ってるとは思えないし。




かと言って連絡を取ってないとは断言できなくて、


もしかしたら住所を伝えているのかもしれない。








Aが逃げたら恋人は殺すけど__








不意に脳内を過ぎ去って言ったあの言葉。





あれ、今の私、


開放されたと言うより逃げ出したの方が似合ってない?



今までありがとうとは言ったけど、


出てっていいよなんて一言も聞いてない。




何もかも計画的にやる彼だ、


これもどこか罠なのかもしれない。




そう気が付いて血の気が引いていくのが自分でもわかった






『戻らなきゃ』

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chirua(プロフ) - らんさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます;;完結まで是非よろしくお願いします︎☺︎ (9月6日 16時) (レス) id: 9ab6ec17b9 (このIDを非表示/違反報告)
らん - めちゃくちゃ面白いです!阿部くん最高すぎます!更新楽しみにしてます☺️ (9月2日 1時) (レス) id: 07ae00cca1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:chirua | 作成日時:2023年8月30日 13時

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