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「Aはさ、昔から優しいよね。だからいつも気が付かない」
『どういう事…？』
「優しくて可愛くてお人好しすぎる。繊細なのに人に干渉しすぎず気を遣いすぎる。今囚われてても、本気で抵抗したら逃げられるのに何もしない」
『それは辰哉くんに危害を加えて欲しくないから。それに…亮平くんにそんなことして欲しくない』
一定の距離を保ったまま伝えると
小さくため息を吐いて立ち上がった。
「Aの性格も込で大学の頃は好きだった。でも今は少しだけ、直して欲しいとすら思う」
『…』
「深澤とはちゃんと別れて」
真剣で真っ直ぐで、
吸い込まれてしまいそうな目に見つめられる。
至って真面目に話してるそれが、
どの過程を得てたどり着いた答えなのか。
私にはその途中式が見えない。
『理由を教えてよ』
「教えられない、別れて」
『別れる理由がない』
いつもなら理由を簡潔に述べてくれる彼が
教えられないとしか言わないのなら、
それに従うメリットが無い。
淡白に伝えると、暫くの沈黙を耐えたあと
何も言わず自室から鞄を持って戻ってきた。
「俺は不器用だからふっかみたいに取り繕うことすら出来なかった。ごめんね、今までありがとう」
手渡された鞄は私のもので、
中には財布と鍵、携帯だけが無造作に入れられていた。
出て行ってもいいというサインなのだろうと
解釈してしまった。
『…辰哉くんは』
「今頃Aの事を探し回ってるんじゃないかな」
『…生きてるんだよね』
「生きてるよ。親友じゃなくなっても、大切な友達より下げられないから」
最後は何も告げずに小走りで家を出た
いつもはゆっくり歩いて向かっていた通りまでも走って、
タクシーを捕まえて住所を告げる。
荷物を確認した時、
自分の部屋の鍵しか無かったから
とりあえず自分の家に戻る。
そこに辰哉くんが居なかったら、次は辰哉くんの家に。
今度こそ。
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chirua(プロフ) - らんさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます；；完結まで是非よろしくお願いします︎☺︎ (9月6日 16時) (
レス) id: 9ab6ec17b9 (このIDを非表示/違反報告)
らん - めちゃくちゃ面白いです！阿部くん最高すぎます！更新楽しみにしてます☺️ (9月2日 1時) (レス) id: 07ae00cca1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：chirua | 作成日時：2023年8月30日 13時
