希望 ページ16
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「A、」
『辰哉くん、！！』
「良かった、やっと会えた。怪我ない？」
『うん、大丈夫だよ。辰哉くんは？』
「大丈夫」
優しく抱きしめてくれる辰哉くんの温もりと、
私の好きな香水の香りに包まれて
いつも以上にきつく抱き締め返した
「ん、どしたどした」
『辰哉くん…暖かい……』
「Aは良い匂い〜好きだわ俺」
『んふふ、私も』
「ん？私も何？」
『私も好き』
「ほんっと可愛いな」
優しい表情に見下ろされて瞼を瞑ると、
イタズラに私の前髪だけを直した
『ん……ちゅーは？』
「はああ、わあったよ」
待ち構えるように再び瞼を瞑って
いつも通りに辰哉くんを待って
もっと近くに気配を感じて袖を強く握りしめた。
ちょっと長めのキスから解き放たれて目を開けた
『辰哉くん…』
「俺は亮平だよ」
『……！？』
「ただいま、A」
ぼやけた視界のピントがあった時
夢を見ていたことに気がついて、
酷く心臓がバクバクと音を立て始めた。
頭の奥でも大きく脈を刻んでる。
ベッドに入って私の頭を撫でていた
未だスーツ姿の亮平くんから逃げようとして落ちかけた
「ふっかとの夢見てたの？幸せそうな顔してたね」
『お、おか…おかえ』
「キスじゃなくてちゅーって言うんだね」
『いつ帰って』
「寝ぼけた甘えたさんなのかと思ったからしてあげたけど」
言うこと言うこと全て遮って言葉が飛んでくる。
'してあげた'
ほわほわした意識で整理して反射的に口を押えた
「ちゅーも、ぎゅーも、全部俺だよ。残念だったね」
天国から地獄までマッハで突き落とされる。
澱んでいる、空気も目も声色も何もかも。
彼女を"演じなきゃ"行けないとわかっていながら
こんなことって。
いつもなら気持ちいいはずの朝日が、
最低な光に変わった。
ちょっと話そっかなんてリビングに戻っていくその後ろを、
距離をとって追いかける。
これ以上怒らせない為。
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chirua(プロフ) - らんさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます；；完結まで是非よろしくお願いします︎☺︎ (9月6日 16時) (
レス) id: 9ab6ec17b9 (このIDを非表示/違反報告)
らん - めちゃくちゃ面白いです！阿部くん最高すぎます！更新楽しみにしてます☺️ (9月2日 1時) (レス) id: 07ae00cca1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：chirua | 作成日時：2023年8月30日 13時
