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あの時と一緒だ。
地下で怒号を浴びた時と同じテンションと雰囲気、
いやもっと怖い
『亮平くん本当に、っ』
「ふっかのためじゃないと俺とそういうことできないんでしょ？」
その距離わずか数十センチ、
今の彼に対して肯定も否定もできないその質問に
思わず目を逸らしてしまった。
『辰哉くんのためでもためじゃなくても、今は……したくない……』
必死に考えて振り絞った答えで
目の前に落ちていた影がすっと離れていく。
正解か不正解か分からずじまいではあるけど、
自分を傷つける事なくその場を押さえれたことに
心底ホッとした。
ホッとした瞬間だった
「シュレディンガーの猫」
『……え？』
彼が不意に口を開いた。
「猫を使った思考実験だよ。大学のとき話したじゃん」
『…覚えてないよ』
「一定確率で毒ガスを放出する装置と一緒に箱に入れられた猫は、蓋を開けるまでは生きた状態と死んだ状態が重なり合っている。
つまり生きている世界と死んでいる世界が共存しているという思考」
『……それが、どうしたの、？』
「俺らは今、どちらの世界にいるんだろうね」
ゆっくり交わった視線の先の瞳で深く勘ぐった。
「……！？、辰哉くんはどこにいるの？…親友でしょ、！？」
久々に出した大声がカラカラと部屋に木霊する。
『ふたりが恋人になった時からふっかは親友じゃなくなったよ』
情けない事に声が出ず、口から空気だけが漏れて行く
「どちらか。それを決めるのはAだからね」
『亮平くんでしょ』
さあ？と首を傾げて立ち上がる彼に
見下ろされる形になって必死に目を追った。
微かに聞こえる声で本当はどっちなのと問いかけるも
少し口角を上げるのみで
「物事の結果は発生するまでわからない。Aも勉強したよ？」
その笑顔が、また恐怖心を煮えたぎらせる。
ただただ彼の掌の上でコロコロと転がされていく。
シュレディンガーの猫、それが今辰哉くんだと言うなら……
そんな思考に落ちて、身体の力が抜けた。
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chirua(プロフ) - らんさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます；；完結まで是非よろしくお願いします︎☺︎ (9月6日 16時) (
レス) id: 9ab6ec17b9 (このIDを非表示/違反報告)
らん - めちゃくちゃ面白いです！阿部くん最高すぎます！更新楽しみにしてます☺️ (9月2日 1時) (レス) id: 07ae00cca1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：chirua | 作成日時：2023年8月30日 13時
