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『え、なんで康二くんいるんですか』

「ふたりや思った？残念！俺もおるで」

空いた口が塞がらないっていう表現

こういう時も使っていいのだろうか。

当日、てっきりふたりだと思って覚悟を決めて来たのに

深澤さんの横から顔を覗かせる康二くん。

下手におめかしなんてするんじゃなかったと思っていると

「雰囲気違くてかわいーじゃん、な？」

「そうやねぇ？」

『…あり、がとうございま、す……』

褒めてくれる深澤さんもニヤニヤしてる康二くんも、

ふたり共だって全く雰囲気が違ってお洒落。

深澤さんに限ってはちょっとチャラさが滲み出てるけど。

深澤さんの買い物に付き合うつもりで来たけれど

それは口実だったようで、

実際は同期三人で出かけてみたかったのだそう。

「俺が誘ってもこなーいって康二が言うからさ」

「俺が嘘つきみたいやん！」

「Aちゃんふたりで回ろっか〜」

「否定せい！！」

だめだ…ちゃん付けもふたりでって言う単語も

全て刺さってしまって康二くんの声が一切頭に届いてこない。

そんなでたどり着いたのは女性物のアクセサリーのお店。

どうやら康二くんがお目当てのお店だったらしく、

ひとりで入れないとうじうじしていた。

「自分用？」

「ちゃうわ！彼女のプレゼント！」

『え…康二くん彼女さんいるんですか…？』

「疑いの眼差しっっ」

いやいやいや、彼女さんいるのにこんな女引き連れて

買い物くるくらいなら彼女さん連れて来たほうが！？と

思ったけれど、サプライズでプレゼントを貰うのが嬉しいと

数少ない友達が言っていたような記憶もある。

あーでもないこーどもないと言いながら

店内を見て回る康二くんの後ろを追いかける。

深澤さんと何か話したけど殆ど覚えてなくて、

そうですねしか言った記憶がない。

『あ……』

「ん？どした？」

『あいや、可愛いなって思って。』

ひと目惹かれたショーケースの中で輝くネックレス。

小ぶりでいかにも女性らしい。可愛いけど、でも…

『…私なんかには似合わないな……』

こんなやつに付けられるネックレスが可哀想だ。

その後すぐ決まった！と言って

るんるんでお会計に向かう康二くんの背中を追った。

……え、高っ！？