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赤くなる耳を隠す事なく湯気の立ち昇るコップを

2つ持ってソファーへと戻っていく。

「だからさ、AちゃんからLINE来た時、
あーこれあいつらやったわってなった」

『ご両親ですか？』

私がご両親か翔太さんから脅されたか金渡されたかして

LINEを送って来たのだと思ってそう。

実際、高校時代仲良くしていたちょっとやんちゃな友達は

警察の父親に脅されて

気が付けば深澤さんの近くにはいなかったという。

『いくら深澤さんのご家族だとしても、
本人に相談せずにあんなこと言わないです』

「でも言ったんだ？」

『ぅ………ずっと不釣り合いだって思ってたらLINE見ちゃって、
私歓迎されてないってなって…』

「母親からくるLINEなんて全部俺宛の愚痴よ」

あの時一緒に添付されてきた写真は

翔太さんにご両親が頼んで撮ったものだそう。

高校時代にもやられたことがあり、

その時も家族のヤバさに引いた女の子がフッたそう。

『元カノさん……いや、私もか』

ちゃんと改めて話せたことで、自分の中にいた小人は

いつの間にか削ったり殴ったりという事をしなくなっていて、

いなくなってしまったかのようにしんとしていた。

久々に飲んだフルーツティーがやけに甘く感じて、

一口飲んですぐ置いた。

「Aちゃん、またやり直してほしい」

さっきよりも真っ赤になった耳に目を取られるも、

しっかり目を合わせて。

『こちらこそ、宜しくお願いします』

良かった……とぽつりと吐いたあと

柄にもなく目を赤くする彼をそっと抱き寄せて背中を擦った。

こんな時でも視界に入るちょっと傷んだ髪と

丸っこい猫背が愛おしく感じた。