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「なにそれ知らんよ！とうとう俺の知識を超えたのか…」

自分よりも深澤さんが英語ができると思っていなかったのか、

椅子に深くもたれかかってしまった。

「ほな、ご両親がめちゃめちゃ厳しいことは知ってる？」

『まあなんとなくは……』

「え、実家帰れへんことも？」

『確かに実家の話あんまり聞かないかも』

次康二くんから発せられる言葉に私は耳を疑い茫然自失した

「彼女は絶対親に紹介せーへんことも？、」

何も言わなくなった私を見てまずいと思ったのか

あ！いやっ！と行き場の失った右手が忙しなく動いている

今まで分かっているようで分かりきっておらず、

自分の中で曖昧にしていたものが

正当な答えとなって跳ね返ってきたような。

そんな気分になった。

「ほら、ご両親厳しくてお許し得られへんとか、
彼女の事に関しては何があっても打ち明けたくないって
言って……あぁ、あかん！いらんことばっか出てくる」

やっぱり釣り合ってなかったのか。

深澤さんが一番良くわかってたんだ。自分に見合ってないと。

『いえ…何となく、分かってたので』

「照れ隠しかも知れん！」

酔った時以来キスはされてない。

ハグだってあれ以来したのは私からだ。

手もつなぎたいと意思表示をしないと繋ぐことはない。

何故深澤さんが私なんかに優しくするのか、分からない

どこにでもある、ありふれた幸せは

私にとっては全く理解しがたいものだった。