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「帰り際にコーヒー美味しかったって笑ってたけど……あかん、怖くて思い出すのも堪える」
『阿部が…』
「疑ってる訳じゃないんよ、でもこれ、こっちはふっかさんだけどこっちはAちゃんじゃないよな…？」
『ん、違うね』
「この建物もそういう…やつ？」
『んだね』
康二は優しい
人の噂に流されて何かを確定することはしない。
けれどそれと同時に、それを全面否定することもしない。
互いの間に何かあったなら協力すると言ってくれる人、
実際大学の時は康二のおかげで阿部と仲直り出来ている。
『俺も前会った時に見せられた、その写真。偽造とかじゃなくて本物。前の話ではあるけど…本当』
「ほんまって……なんで……」
『魔が差した、では済まねーね。でも、俺も阿部も嘘は言ってないよ』
「…Aちゃんは知ってるん？」
『いや、知らない。知らないフリかもしれないけど』
落胆したため息が聞こえてくる。
もうやめたこととはいえ、事実に変わりなかった。
耳だけこちらに傾けていた瑞稀
も険しい顔をしてその場を離れていった。
2人はずっと仲がいい、当たり前の反応だ
「ほんまに好きなんやな阿部ちゃん……喧嘩はしとるとか助けなあかんとか言うて……」
『喧嘩……まて康二、それも阿部が言ってた？』
「ん？うん、怪我してるかもとかなんかも聞こえたような気ぃするけど」
なぜ阿部は、昨日俺らが喧嘩したことを知っているのか。
それに以前会った時、
Aの事毎日のように泣かせる挙句…と言っていた。
俺が何か話したわけでもないし、一緒に会った訳でもない。
かと言って2人が会ってるとも考えにくい。
もし会っていたら行動で気が付くはず、
Aはそれだけ行動がわかりやすい所がある。
相手が阿部なら尚更。
だとすると考えられるのは……
「ま、これはサービスな。食べていき」
『…あぁ、さんきゅ』
「一応言っとく。この件で何かあった場合俺らはふっかさん側にはいられんからな」
『ん……それでいいよ、是非そうしてくれ』
お昼の残り時間が少なくなっているのを確認して
急いでフレンチトーストを食べた。
俺らの動向を知られてる理由として考えれるのは、
部屋のどこかを
『盗聴…』
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作者名：chirua | 作成日時：2024年3月18日 16時
