cigar- （２） (ページ2)

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『なんで物返すだけなのにここなの』

「人目に付くとで話せないし」

『前絡んできただろ』

「あの時はちょっと…ハイな感じ？」

呼ばれて行けばホテル街で、

分かりやすく入口で待っていた。

別の場所へ移動も考えたけど、

もし誰かにどこかで見ていたり聞いていたりなんかしたら

たまったもんじゃないと"仕方なく"ホテル内へ

ベッドに座った女は本当はこれから出勤なんだけどね、

と言いながら首を傾げる。

「同伴でしたって一緒に来てくれない？」

『あん時行ったのは付き合いだから』

「じゃあペナかあ」

扉の前から距離を置いたままで会話をする。

コンパクトなバックの中から出したものを

ベッドの上に置いた

「前にライター勝手に借りたままずっと持ち歩いてたから返すね」

『別にいらねんだけど』

「私ももう要らないもん。返したら出るから」

早く取りに来いと言わんばかりにベットを叩く

渡しに来る気もその場を動く気も

無さげなそいつに呆れながらも、

保っていた距離を縮めライターを手に取る。

こんなの使っていたかどうか、目の前にしても思い出せない

そもそも2度しかあっていないし、

煙草を吸っているところも見た記憶が無い

「ねえ、本当はそのつもりで来たんでしょ？」

『んなわけ』

「…ちょっとだけ、ハッカの匂いがする………違う？」

確かに今上着のポケットの中に

長らく吸っていない煙草が入っている。

なんとなく、持ってきただけ。

会ってから1度も出していないというのに、

匂いだけで当てられてしまい反論する言葉を失う。