cigar- （２） (ページ1)

今日:3 hit、昨日:72 hit、合計:14,508 hit

cigar ページ1

-

あれから数日経った夜、阿部からの誘いがやってきた。

'来週どこか空いてる？またご飯行かない？'

もし次阿部とご飯に行った時ははっきり話そうと決めている

いつかは久々5人集まろうと康二から誘われていたから尚更。

場所は店を貸すからとまで。

そのこともあって今回の誘いには、

前回より前向きに返事をした

日を決め、時間を決め。

数分たった後にまた一通返事が来てスマホに目をやる。

「'今日の夜会いたい'」

阿部ではなく女からだった。

『'無理って言った'』

「'返さなきゃ行けないものがあるの'」

何も貸した覚えなどなく、無くしたようなものもなく。

こいつの下手くそな口実だろうと

既読を付けてしまった文字を眺める

「ごめん辰哉くん、今日の夜後輩の女の子たちと出かけてきても良い？」

自室にいたはずのAがせかせか準備をしながら

ひょっこり部屋から顔を出してきて、

咄嗟に画面を下に伏せる。

『女の子だけ？』

「うん、女子会急遽予定ずれちゃって…」

『ん、いいよ。俺も外で食べてくるわ』

ごめん、ありがとうと言ってあっという間に

出て行ってしまった彼女がいなくなった部屋で、

伏せていた画面を改めて眺める。

何故こうもモヤモヤとした気持ちが再燃してきた時に限って

こいつは連絡してくるのか。

俺はただ外で晩飯を済ませてくるという口実の元に

部屋を出た。

俺の記憶にはない何かを返してもらうだけ