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「なあ、記念に校内回ろうぜ」

「いいね。乗った」

「って事で結莉借りてくぞ」

『うん…行ってらっしゃい……』









残された教室にまた蓮くんとふたりきり。



整えたはずの気持ちがまた乱れ気味









「昨日突然連絡してごめんね、ちょっと時間欲しくて」

『ううん、大丈夫だよ』









蓮くんらしくない珍しい気配がどこかしていて、


なんだか歯切れが悪い。




いつもしつこいくらいに見てくる目も一切合わない









「これ、渡そうと思って」









カバンの中からひょっこり顔を出した


手のひらサイズのマスコットが私の手の上に置かれる。









「友達と泊まりに行ったんだけど、その時のお土産」

『…可愛い、いいの?』

「うん」

『嬉しいありがとう……!』

「まじ?……っしゃ」









大きな出来事をやり遂げたかのように


ガッツポーズを見せて笑って


いつも通りの蓮くんへと逆戻りしていった。










「結莉さんとかにはないから個別で渡そうと思って」

『本当に嬉しい……毎日かばんにつける』










好きになったその笑顔を沢山浴びたまま1つ深呼吸をする。




伝えなきゃ後悔するぞ?それは絶対に嫌、と


自問自答をする。





じゃあバイトあるからと


小さく手を振り立ち去ろうとする蓮くんの背中に


反射的に呼びかける









『っ蓮くん』

「ん?」









スカートをぎゅっと握りしめて、唇をかみ締めて。





逃げてばかりの自分にサヨナラするためにも、


そう自分を奮い立たせてやっとの思いで声を出す









『私も、言いたいことがあって……』

「……うん」

『実は、その……』

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作者名:chirua | 作成日時:2023年12月20日 17時

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