甘い恋の魔法箱（２） (ページ5)

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冬休みが始まってすぐのクリスマス。

『わっ、雪だ』

「ほんとだ！」

雪を見てはしゃぐ私たちの隣にいるのは上田くんと蓮くん。

ゆりりんの提案でこの4人集まったんだけど、

他の女の子に誘われまくっていた蓮くんを

上田くんがどうにか引き剥がしてきたみたいで、

集合した頃には疲れ切っていた

「ほんとモテ男はめんどくせえ」

「モテてないって」

「まだ言うか！？」

「上田写真撮ろ〜」

「ん……」

「上田って結莉さんの前だと静かだよね」

『仲良しだからね』

無意識にイチャつく2人を眺めながら、

友達以上恋人未満な関係のまま

ずるずるしてる2人で立ちつくす。

距離感近めの蓮くんから見れば、

友達以上だと思ってるのは私だけかもしれないけれど

イルミネーションの前から戻ってこない2人を待ちながら、

空中に白い息を吐いて暇つぶしをしていると

隣で参戦してくる蓮くん

2人で吐く白い息が雪と一緒に空気に解けていく

「寒くない？」

『んー、ちょっと寒いね』

もう一度息を吐くと、途端に暖かくなる右手。

「これなら暖かい？」

『…暖かい……』

手を誘拐されて一緒に

蓮くんの上着のポケットに右手が隠れていた。

いつも予想外の行動をする彼に

そろそろ対応出来てきたかもと思っていたのに。

暖まるどころか熱くなってまだ冷たい左手を頬に当てる。

きっと赤ら顔になってしまってるかも

上田くんの行くぞ！という声にびっくりして

咄嗟に手を離す。

再びひんやりとした世界に放り出された右手が寒い

「はーい。……行こ」

後ろを着いていく私に控えめに差し出された手に

人差し指だけを絡めて、

はぐれないように2人の元まで向かった。

その後の冬休みも

ゆりりんとクリスマス限定のケーキを食べに行ったり、

年明けすぐ初詣に行ったり。

やっと2人の惚気を聞けて満足して

高校生最後の冬休みが幕を閉じた。