甘い恋の魔法箱（２） (ページ4)

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休みを挟んだあとの放課後、

蓮くんが合否を先生から貰いに職員室に行くとの事で

3人で教室に残り待っていた。

本人はケロッとしていたけど私たち含め、

他の友達の合否待ちをしているクラスメイト達も

同じ教室内にいたはずなのに、

まるでそこが無人のように静まり返っていた。

内定取れた！と元気よく帰ってくるクラスメイトに

拍手を送りながら目的の人物が

教室に入ってくるのを確認して目を見合せた。

「内定だって」

「まじか！天才かよお前！」

『おめでとう…！』

「おめでと〜！！」

余韻に浸る間もなく

他のクラスメイトに囲まれていってしまった蓮くんに

これ以上お祝いの言葉を送れる訳もなく、

ゆりりんの帰路に着いた。

高校生活で残る季節は冬。

相変わらず勉強はちゃんと取り組まないといけないけれど、

最後の数か月。沢山遊びたい。

その日の帰宅後、1件のLINEがスマホを震わせる

「"今日の晩御飯だった"」

既読をつけた後に送信されてくるグラタンの写真

『"美味しそうだね"』

「"姉ちゃんが甘党さん呼んでくれて、2人で作ってくれたって"」

「"めっちゃ美味かった"」

私の呼び方に合わせてくれたのか

甘党さんという単語に思わず笑みがこぼれる。

写真の端に写っているピースサインが

蓮くんのものでないと気が付いて

『"ピース甘党さん？"』

「"うん、結構おちゃめ"」

「"直接言えてなかったけど、合格おめでとう"」

『"目黒くんも内定おめでとう"』

久々にLINE出来たとるんるんしながら次の返信を待つが、

2分経っても帰ってこなくて

話題を終わらせてしまったと

書いては消してを繰り返して話題を秘ねろうと唸る。

けど、どうやら違くて

「"なんで目黒くんに戻ってるの？"」

『あっ……予測変換……』

ゆりりんとのLINE等で使っていた予測変換を

そのまま利用したせいで怒られてるらしい

『"蓮くん内定おめでとう"』

「"ありがとう"」

何事も無かったかのような返信の後に

ハートを持ったわんちゃんのスタンプがひとつ。

このまま卒業の頃にはこの片思いに蹴りを付けたい。

いや、つけなければいけない。

未だに狙ってる女子もいるし、

就職と進学では生活リズムがまるで変わってしまう。

だからその前に。