雪男さんたちの短編集 (ページ1)

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『毎月会えるように頑張るから』

そう彼に言われてから9ヶ月。遠くへ暫く出張となった彼とは結局一度も会えていない。

彼の休みと私の休みが合わなかったり、
合ったとしても交通機関が運悪く麻痺していたりと
都合が全く合わなかった。

6ヶ月前までは毎日行っていたLINEでのやり取りも、
最近では2日に一度あればいいほどに。

「会いたいよ…」

彼の同棲していた少し広い部屋で一人呟く。

仕事のできる彼は周りから信頼されていて仲間も多くて、とても自慢の彼。

だからこそ忙しそうな時は邪魔したくなくて、
極力こちらからの連絡は控えるようにしていた。

でも…流石に寂しい。

電話だけでも、声が聞きたい。

「今忙しいのかな、」

トーク画面を開いて、
打っては消して打っては消してを何度も繰り返して、
やっとの思いで送信できた。

「"れんくん今日も遅くまでお仕事？"」

いつ返信が来るかと考え始めた時だった。
送って約2分くらい。メッセージの横に既読の文字。

『"今日は定時で終わりだよ"』

きっと遅くまでかかると思い込んでいた私にとっては
思いもよらない返信で、
戸惑いながらすぐさまつけてしまった既読を見つめてフリーズ。

「どうしよう、電話したいって言っていいかな…良いのかな」