BEAST * My Wild Beast ～私の可愛い野獣たち～５ * (ページ16)

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216. 誤った選択～ジュニョンside～ページ16

話は戻るが、俺はハラと会っていた。

まずは近況を報告し合ったりして。お互い忙しいからなかなか会えないのは当然のこと。
むしろ忙しいのは職業柄いいことだ。

いきなり核心をついてきたのは、彼女の方だった。

HR『ねぇ…最近寂しい』

JN『あぁ…俺も』

HR『違う。そういう意味じゃないの。
あなたは変わってしまった』

JN『…え？』

HR『誰を見てるの？何を求めてる？？私を見てない。求めてない。違うものにあなたの気持ちは行ってしまっている』

JN『そんなこと』

HR『じゃあはっきり言ってよ。前みたいに。私を愛してるって』

JN『…』

HR『言えるわけない。あなたは正直な人だから』

JN『…何を言ってる？？俺が正直？はっ、笑わせるな。誰も俺の本心なんか…』

HR『違う、あなたは自分が思ってるより正直よ。特に歌の中では…』

JN『…え？』

HR『気づいてる？？あなたの作った歌詞。前と違うことに。
そこで確信した。あなたの心がどこにあるのか。

自由になったわ、だいぶ。自由な愛を見つけたのね』

JN『…。でも俺は、お前も大事で…』

HR『そうよ、あなたは私が大事。私もあなたが大事。
だから離さない。またあなたの心を取り戻す自信がある。

ねぇ…私待つわ。離さないとか言っておきながらも、馬鹿ね私。

あなたの心がここに戻ってくるまで、待ってるから。

だからあなたもちゃんと整理して？

…別れましょう』

JN『…っ！』

思っていたより重い一言。でもどこかでこの一言を待ち望んでいた自分もいて。

嫌だ嫌だ嫌だ。心はそう叫んでいるはずなのに。

言葉は、出てこなかった。

JN『…でも、いつまでもお前だけは特別だから』

HR『ふふ…引き止めてもくれないのね。
いいわ、私が先に望んだことだから…』

そんな強がりを言いながら今にも泣き出しそうな顔をする彼女を、抱きしめる資格さえ今の俺にはない。

きっと今日のことを忘れることはないだろう。

HR『さようなら…』

そう言って、カウンターに一人俺だけ残して去って行った彼女。

彼女の元に戻ることなどないだろう。彼女もきっとそれを分かっていたに違いない。

俺は最低だ…！

結局人を傷つけることしかできない。

こういう結果を待ち望んでいた自分がいたことにも気づいてしまった。

後悔してもしきれない。いつ、どこで間違った選択をしてしまったのだろう。